2009/4/25 : 限界はない。(きのこ) |
最高の、120分だった。 いや、正確には、最高に眩しいラスト40分だった。 『天元突破グレンラガン・羅厳編』 テレビシリーズから失ったものは戻らない。 あの二十六話分の厚みを再現するにはいたらない。 だが、その欠損を補って余りあるものがある。 “もう、あのテーマ、あの舞台装置では本編以上の突き抜け方はできないだろう” などとクールぶっていた頭をすっ飛ばすほどの映像の力、情熱の強さ。 これはテレビ版グレンラガンの焼き直しなんてぬるいものではなく、 天元突破グレンラガンを完全に焼き尽くした最終版だ。 そう。そのカタチはテレビシリーズとは別のものになっても、 彼らの根底にあるものは何一つ変わっていない。 作中の主人公たちも、携わったスタッフたちもみな同じ気持ちだったのだろう。 「限界を超える」 一年ぶりに思い知らされた。 それこそが、グレンラガンの魂なのだと。 ◆◆◆ はい、そんな訳で劇場版グレン公開初日だオルァー! グレン好きは問答無用で観に行くべし。 テレビ版が好きすぎて「紅蓮編」の評価をだせなかったこの自分が、 “ゴタクはいい、いいから観に行けコンチクショー!” と知り合いの背中をけっ飛ばすぐらいの勢いです。 今でも完璧だと思っている25話、26話をよくもあそこまで――― あ、いや、はじめは目が点になりました(笑)が、五分もしたら“ああもう、こうなったらトコトンやればいい!”とニヤニヤしちまうこと請け合いです。 ◇◆◇ ここから雑談。最新のSF概念を気合というデコレーションで隠しているのがグレンですが、今回、分かりやすい言い回しがでてきたのもちょっと嬉しい。 本編中でサラッと 「(おまえは)それほど強大なエネルギーを支配するというのか」 といった台詞がでてくるのですが、 「エネルギーを持つ(もしくは放つ)というのか」 ではないのがミソ。螺旋力ってのは気合でエネルギー出してんじゃなくて、生命熱量的な認識力とか証明で、宇宙にある熱を制御しているだけなんよー、みたいな。(山本弘さんとかならならもっとうまい言い回しができると思うのだが……無念) また、地味にグッときたのはエンドロールのラストカット。 エンドロールが各編のバックボーン(現在進行しているテーマの提示)になっていたのもグレンの特徴ですが、最後の最後、羅厳編のエンドロールだけは「彼のその後」あるいは、「この人物とは何か、証明せよ」といった質問の答えになっている。 あんなのをさりげなく見せられたら、 “ああ、彼のグレンはこれで終わりなんだな”と胸が熱くならない筈がない。 無論、悲しさではなく眩しさから。その道程に、惜しみない喝采を。 |