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【岐阜】クマ捕殺、是か非か 絶滅危惧に自治体「安全第一」2010年10月22日
関ケ原町関ケ原の山林で21日早朝、イノシシ捕獲用の鉄製箱おりに入ったツキノワグマ1頭が猟銃で殺処分された。同町では、12日にも箱おりに掛かったクマ1頭が殺処分されており、4月以降に県内で捕殺したクマは昨年度1年間の3倍以上となる145頭にも達した。わな猟は全国的に増えており、NPO関係者らからは、無差別な捕獲によるクマの絶滅を危惧(きぐ)する声が出ている。 垂井署によると、クマは体長約1・4メートル、体重約90キロの雄で、同町が設置した箱おりに入っていた。現場から半径約400メートルに民家はないが、近くに林道が通っている。 町は農作物を守る有害鳥獣駆除のため、町全域の山林に約50基の箱わなを設置。クマの殺処分については「放す場所が確保できないのが一番の理由。林道に近いので、安全を第一に考えた」と説明している。 大日本猟友会によると、猟銃を持つハンターが高齢化で減少する一方、手軽なわな猟は農家を中心に手がける人が増加。同会だけでも、わな猟の有資格者は3月末で約1万8000人と、10年前に比べ3倍近く増えている。 11月15日には狩猟が解禁される。狩猟ではツキノワグマに対してのわなの使用は禁止されているが、全国でクマが多数出没する中、わなにかかってしまう事故が懸念されている。 県地球環境課の担当者は「放獣で地元の理解が得られることは少ない。おりから出す時にも危険が伴う」と放獣の難しさを指摘。わなにかかるクマを減らす対策として、上部にクマ用の脱出穴を開けたおりの普及を進めている。
クマ対策に取り組むNPO法人「ピッキオ」(長野県軽井沢町)は「クマの捕獲や駆除の対策だけでなく、生息数の調査や駆除の影響などの実態把握が必要」と注文。「全国的な駆除活動は、急激な生息数減少につながる可能性がある」と話している。 (志村拓) 【全国のツキノワグマ捕獲数】 環境省によると、今年4〜9月で1961頭。うち1718頭が殺処分された。昨年度1年間に比べて約2倍に増えている。 PR情報
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