「米国は中国のヘゲモニーに対抗すべき」(下)

米誌が著名な学者3人のビジョンと21世紀最初の10年を診断

 浮上する中国への対策も直接・間接的にに提示された。フクヤマ氏は、自由民主主義の流れの中でも、国家間の時差や対立の可能性は残ると話した。ミアシャイマー氏は中国について、自由主義的な抱擁は幻想と指摘し、中国の成長を抑制してこれに対抗する潜在的な連合勢力構築の必要性を訴えた。

 ハンティントン氏も中国を警戒している。彼は歴史を振り返りながら、中国は過去においてイスラム諸国よりもさらに過激だった唯一の強大国だったと主張する。また中国は東アジアで、中華主義を基盤とする秩序を最も自然なものと見なすだろうと予想した。

 3人の理論家はいずれも、「ダボス式和合」による世界平和の追求は「あさはかな行動」と指摘する。世界人口の1%にも満たない少数のエリートが同質感を感じたからといって、世界が一つにまとまっていくと見なすのはあさはかな考えということだ。また、十字軍のような進歩主義も警戒している。一時は新保守主義と見なされていたフクヤマ氏も、イラク戦争をきっかけに考えを変えた。

 それにもかかわらず、米国の外交はこれまでダボスフォーラム優位の楽観的な自由主義と、力を過信する軍事的進歩主義が優勢だった。ベッツ所長は、文明が対立するという現実を直視することと、これに対する西欧諸国の結束を訴えたハンティントン氏の主張について、「最も説得力がある」と結論づけた。

 ハンティントン氏は中国が異質であることを認めると同時に、米国に決断を促した。同氏の主張はこうだ。もし米国が中国のヘゲモニー(主導権)に対抗して争うつもりがないのなら、米国的価値が普遍的だという信念は捨てなければならないだろう。最も大きなリスクは、米国が明確な選択をしないまま、偶発的に中国との戦争に巻き込まれてしまうことだ。それが国益に適うかについて慎重に考慮し、またその戦争を効果的に遂行する準備もできていない状況では、なおさらそうだという。

全炳根(チョン・ビョング)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る