「米国は中国のヘゲモニーに対抗すべき」(上)

米誌が著名な学者3人のビジョンと21世紀最初の10年を診断

 21世紀最初の10年が過ぎ、われわれは世界秩序に対する三つの見方に対して検討を加えることができるようになった。ジョンズ・ホプキンス大学のフランシス・フクヤマ教授による『歴史の終わり』、故サミュエル・P・ハンティントン元ハーバード大学教授の『文明の衝突』、シカゴ大学のミアシャイマー教授の『大国政治の悲劇』などだ。これらはいずれも、国際政治での重要なパラダイムとされている。

 これら3大ビジョンについて、米国の外交専門誌『フォーリン・アフェアーズ』がこのほど検証を行った。コロンビア大学SIWPS(戦争と平和研究所)のリチャード・ベッツ所長は、「葛藤(かっとう)か協力か」というテーマの寄稿文の中で、「これら3ビジョンを統合した第4のビジョンが必要」と主張した。

 三つのビジョンは、実際に多くの面で的中した。フクヤマ氏による自由民主主義勝利の予想は、ベルリンの壁と共産圏の崩壊という形で現実のものとなった。ハンティントン氏の『文明の衝突』は、9・11テロやイスラム圏との対立という形で表面化した。ミアシャイマー氏の米中衝突論は、最近さらに現実味を帯びている。

 フクヤマ氏は人類歴史について、経済論理と科学技術発展の影響で、自由民主主義と市場資本主義の優位に帰結すると予想した。歴史を際限のない力の対立と見なすのではなく、歴史そのものに方向性があるという見方は、現代史に対する一つの観点を提供した。一方、現実論者でもあるミアシャイマー氏は、西欧諸国が冷戦での勝利に沸き立っていたときも、現実を非常に冷めた目で見ていた。冷戦時代のソ連の座は中国が引き継ぐと予想し、早くから中国けん制の必要性を訴えていた。ハンティントン氏はグローバル化の流れを認めながら、文明単位の新たな分裂や対立も同時に予想し、また米国に対しては自国の衰退に備え、活力を取り戻すため、さらに力を入れるよう求めた。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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