日本航空の客室乗務員たちが、個人の生活のほか、容姿や体型などの情報を会社の労働組合に無断で集められ、プライバシーを侵害されたと訴えていた裁判で、東京地方裁判所は「不信感や嫌悪感など精神的苦痛を与えた」として、190万円余りの賠償を命じました。
日本航空の客室乗務員や元乗務員およそ190人は、「JAL労働組合」に個人の生活に関する情報を無断で集められ、プライバシーを侵害されたと主張して、おととし、労働組合と組合の元幹部に賠償を求める裁判を起こしました。情報を集めたリストには「シングルマザー」や「バツイチ」といった記載のほか、容姿や体型などについても書かれていました。判決で、東京地方裁判所の青野洋士裁判長は「組合側は、組合員にきめ細かな対応をするために情報を集めたなどとしているが、むやみに扱われたくない情報を無断で集めてプライバシーを侵害し、不信感や嫌悪感など精神的苦痛を与えた」と指摘し、労働組合と組合の元幹部ら5人に190万円余りの賠償を命じました。原告たちは、会社側が人事考課の情報を組合に伝えていたとして日本航空にも裁判を起こしましたが、これについては、日本航空がすでに請求を認めて4800万円余りを支払っています。原告の客室乗務員の女性は「人権侵害の実態を明らかにしたいと訴えてきたので、ほんとうにいい判決を頂いたと思っています。より安全でいいサービスができるよう、日本航空全体の再生に判決を生かしていきたい」と話していました。