両手を突き上げ全身で喜びを表した。2年連続のミラクル。6球団が競合した大石(早大)を引き当てたのは、渡辺監督だ。同じ6球団が競合した昨年の雄星に続き、再び今ドラフト最大の目玉を右腕でつかみとった。
「信じられません。ことしのナンバーワンの選手を引けて。本当に、本当に信じられません。なんか…。怖いです」
昨年は1番目だったくじ引きの順番が、ことしは最後。「(当たりくじが)残ってくれ」と必死に祈り、その願いが通じた。
昨年は雄星の出身校、花巻東高のチームカラーと同じ紫のボールペンを内ポケットに忍ばせた。ことしは「エンジ色のパンツをはいてきたよ。もろワセダカラー。たまたま家にあった」。自宅のタンスで発見した必勝アイテムが、強運をもたらした。
雄星が将来のエース候補なら、大石は間違いなく即戦力。「大学時代はリリーフが多かったけど、2日連続で4回を投げていたしタフさもある。まずは先発。それくらいのスケールがある投手」と早くも起用法を明言。涌井、岸と並ぶ右のエースに育てるつもりだ。
「衝撃です」。2年連続で6分の1を引き当てた感想を、そう表現した渡辺監督。引き役を回避する意向も示していたが、やはり“何か”を持っている。V逸の無念を晴らす、最高のドラフトとなった。(越智健一)