厚生労働省は12年度の介護保険制度改革で、介護保険利用者のうち、介護の必要度の低い人がサービスを利用した際の自己負担割合を引き上げる検討に入った。現行の1割負担を2割にアップすることを視野に入れている。また、家事など生活援助のサービス縮小も検討項目に含める。同省は28日の厚労相の諮問機関、社会保障審議会介護保険部会にこれらの案を論点として示す。だが、負担増には利用者や野党の反発が予想され、実現のメドは立っていない。
同省が自己負担割合の引き上げを検討しているのは、介護の必要度が最も低い「要支援」(約129万人)と、「要介護1」(約87万人)の人。認定者全体(約495万人)の44%に相当する。
また、同省は所得が高い利用者の負担割合増も検討している。今は自己負担のないケアプラン作成も1割負担の対象とすることや、介護施設を利用している低所得者の居住費や食費を補助する「補足給付」対象者についても選定を厳格化する案を提示する。
このほか40~64歳の保険料について、算定方式を各保険の加入者数で決める「人数割り」から、給与水準に応じて決める「総報酬割り」に変える案も列挙した。給与総額の低い企業の健康保険組合などは負担を減じる半面、高給の健保の保険料は増やし、全体の収入増を図る。
00年度の制度発足時に3・6兆円だった介護給付費は、10年度予算では7・9兆円に膨らんだ。65歳以上の保険料は現在4160円(09~11年度、月額、全国平均)だが、このままでは5000円を上回るのは避けられない状況だ。【山田夢留】
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■厚生労働省の介護保険負担案■
▽軽度者の自己負担割合の引き上げ
▽軽度者の生活支援サービスの縮小
▽高所得者の自己負担割合の引き上げ
▽ケアプラン作成に自己負担導入
▽施設利用の低所得者支援を厳格化
▽現役保険料に総報酬割り導入
毎日新聞 2010年10月28日 東京朝刊