岡崎市福岡町の特別養護老人ホーム「なのはな苑」で入所者の女性(93)が死亡した事件で、同苑では居室の定員超過が9年以上前から常態化していたことが、市の調査でわかった。市は28日、社会福祉法に違反するとして、同法に基づき同苑を特別監査する。県も同日、介護保険法に基づいて監査する。【中村宰和】
また市は、再発防止のため20日から、ほかの市内の特養ホーム10カ所を対象にした緊急調査に乗り出した。11月中旬までに調査を終える予定。
市長寿課によると、同苑で聞き取り調査したところ、01年から勤務する職員が「働き始めた時には、定員2人の2部屋に認知症の入所者らを夜間、定員超過の状態で寝かせていた」と証言したという。事件が起きた今月17日には、定員2人の2部屋にそれぞれ6人と4人の高齢者を寝かせていた。
市の調査に対し、同苑は「入所者の夜間の徘徊(はいかい)などに対応するため、職員の目が届きやすいように、部屋に集めて寝かせていた」と説明し、定員超過を認めているという。
市は年1回、一般監査を実施しているが、定員超過を発見できなかった。市長寿課は「定員超過の常態化は非常に残念。厳しく指導したい」と説明した。
なのはな苑は「再発防止に取り組んでいる。特別監査を受ける前なのでコメントを差し控えたい」と話している。
岡崎署は既に、女性に暴行して死亡させたとして、認知症の同室の男(77)を傷害致死容疑で送検している。
毎日新聞 2010年10月28日 地方版