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医療法人30億円所得隠し…経営難で解散
税徴収 難航も
東京都港区で病院を運営していた医療法人社団「清潤会」が、東京国税局の税務調査を受け、2008年3月期の申告分について、約30億円の所得隠しを指摘される見通しであることがわかった。
病院の土地建物の売却益を意図的に申告せず納税を免れたと認定された。仮装・
北青山病院の不動産売却で
関係者によると、清潤会は1955年に設立され、北青山病院(病床数48床)を運営していたが、07年3月期まで2期連続で赤字に転落するなど業績が悪化。07年9月、東京・表参道の交差点付近にあった病院の7階建て建物と、当時の理事長から借りていた約700平方メートルの土地を仲介者を通じて都内の不動産ファンドに計約47億円で売却した。このうち、当時の理事長の取り分などを除く約30億円について、意図的に法人所得の申告から除外していたと認定されたという。
不動産を売却した当時は、ミニバブルの真っ最中で、高値がついた。国土交通省発表の公示地価によると、付近の地価は、前年比42・8%増の1平方メートルあたり900万円に達していた。
同会は、売却後の建物内で病院を診療所に変更して運営を続けていたが、08年3月に事実上閉所。医療法人としての実態は既になく、目立った財産もないという。
同会は、不動産売却益の多くは、当時の理事長側に流れたと主張し、不当利得等請求訴訟を東京地裁に起こしており、現在係争中。清算人は、納税について「訴訟の結果を待ち、対応することになると思う」と話している。
一方、訴訟を起こされた当時の理事長は文書で「まだ、お話しする段階ではない」と回答した。
病院倒産が増加
近年、経営難から倒産に追い込まれる病院は後を絶たず、帝国データバンクによると、今年の倒産件数は9月時点で、既に昨年1年間を上回る12件で、過去最多だった07年の18件に迫る勢いという。同社担当者は「患者の大病院志向で、中小病院が苦しい状況にある」と分析する。
厚生労働省の調査でも、医療法人の運営する赤字病院(一般病床80%以上)の割合が、05年度の2割から08年度は3割にまで増加したという結果が出ている。
(2010年10月28日 読売新聞)
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