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Oct 28, 2010

差別の訴えを”イタい”と評しているわけではない〜梶川ゆきこ広島県議問題

 先の週末からtwitterおよびWEB上でのゴタゴタの当事者になってしまいました。

 広島県議の梶川ゆきこ議員(民主党)がtwitter上で行った「セクシャルハラスメント対策」に関する発言が、(「セクハラを無くしたい」という動機そのものはおおいに頷けるものの)事実認識等においていろいろと問題がある内容であったために反響が大きく、「これはまずいぞ」と思って議員本人あての発言も含めて事態を整理しようと介入したところ、、「女の腐ったような、わかっていない男性フェミニスト」呼ばわりされてブログで個人攻撃されるという始末。

詳しい経緯は下記の通りです。

【梶川県議問題の流れ1】10/23:梶川ゆきこ広島県議が、中日新聞の記事『後をたたない「セクハラ」被害』について独自の考えをつぶやく。それに対し、疑問や批判の意を示すつぶやきが多く発生。
【梶川県議問題の流れ2】10/23日深夜:梶川県議は「一連の発言は自分の本音ではなく、自分の周りの政界で言われていることを流したものだ。世間の反応を見たかった」と弁明。この弁明に対して、さらに批判の声が高まる。
【梶川県議問題の流れ 3】25日、梶川県議は自身のブログにて「セクハラを許さない環境を作ろう!」とブログ記事をアップし、再弁明を行う。
【梶川県議問題の流れ 4】10/26午前:梶川県議も所属する超党派による「フェミニスト議員連盟」の広報担当=野村羊子三鷹市議がtwitter上で「梶川県議の一連のweb上での対応を、同議連内で”WEB活用上の問題、セクハラの定義についての共通理解の問題”として問題化すると表明。
【梶川県議問題の流れ 5】10/26夜:梶川県議は新たなブログ記事「ハラスメント(嫌がらせ)を許さない環境を作ろう!」にて、twitterでの自身への批判に再反論し、状況からみて私=watarlooとおぼしき「男性フェミニスト」に向けた攻撃を行う。

【関連リンク】
Togetter「梶川ゆきこ広島県議の「妻が家庭で夫に優しくすればセクハラは減る」発言について」
Togetter 梶川ゆきこ広島県議の「妻が家庭で夫に優しくすればセクハラは減る」発言についての弁明とその後の反応
「セクハラを許さない環境を作ろう!」 梶川ゆきこ☆蝶々の随想記☆
「ハラスメント(嫌がらせ)を許さない環境を作ろう!」梶川ゆきこ☆蝶々の随想記☆

 この方、困ったことに支離滅裂な言い訳を放置して突っ走ってるまま。「セクハラを止めさせたい」という素朴な正義感はいいとして、思慮の浅い発言は逆にセクハラ、DV、性差別...と闘う人たちの足を引っ張るだけなのに、、、と思うのです。
 ただ、これは一議員の資質の問題(それも小さくない、とは思いますが)ではなく、中央政界にも増してまだまだ封建的な性差別が色濃く残る地方政界において、男性議員たちにあからさまに敵対せずに立ち回ることを余儀なくされる女性たちが抱えている構造的な問題の表れでもあります。 保守的オヤジしかいない地方政界で、同じ党・会派に属する議員たちとあからさまに対立するような筋金入った活動家orフェミニストが政界入りす るなどかなりの困難を伴うことは想像に難くないのですから。

 だからこそ、「セクシャルハラスメントを防ぐ」との意図を活かしたいがために私の梶川県議への質問&批判はありました。それを自分への不当な攻撃としてしか認識せず、嫌がらせ(ハラスメ ント)的にブログにて攻撃するとは開いた口がふさがりませんでした。

 梶川県議に対しては常に「落としどころ」「逃げ場」を用意しておいたつもり なのですよ。つまり、多くの方々の質問に対しては「不適切な発言、認識不足があった点は撤回する」と答えれば済んだはず。だからこそ、こちらは「民主叩 き」にも「女性議員叩き」にもならないよう十分に配慮したのです。そもそも、県議に対する質問やまとめを興味本位の攻撃ではなくあくまでも「政治家に対し 真意を問う」レベルに抑えたのは私だし、別の方が当初は「県議の痛い発言」というタイトルでまとめていたtogetterのタイトルを変更するよう促した のも私であることは公開の場で明らかになっていることです。このように、思い込みによる事実誤認的な記述が梶川県議のブログには溢れています。

 しかも、梶川県議は匿名での批判に対して否定的な立場を取っていたはずだが、自分が他人を批判するときには明白な名指しを避け、状況証拠的に「誰だかわかる」ようなほのめかしによって攻撃対象を匿名化している。これは天に唾する行為ではないのか? とも思われます。

 ちなみに、米モンタナ在住の文化人類学研究者=山口智美さん(「ジェンダーフリー」という言葉がいかに誤解と混乱をもたらしたか? についての調査と考察において、双風舎『バックラッシュ!』への寄稿などすぐれた仕事をなさっている方です)が、ご自身のブログでまとめられています。すでに一地方議員の問題ではなく、超党派の「フェミニズム議員連盟」内で問題化させるまでの成果は出てきたところで、今後の進展に期待しているところです。
 ↓
「梶川ゆきこ広島県議のtwitterやブログでの一連の発言に関して」
http://d.hatena.ne.jp/yamtom/20101026/1288109722

 なお、私は女性差別を訴える声を、「なんでも女性差別にしたがる認知のバイアスを抱えた”痛い”人」と評されてしまうような人が居たとしても、それを「痛い」と表現することで差別を訴える声を抑圧することには賛成しかねます。 たとえそうした認知のバイアスがあれど(それをバイアスと呼ぶならば、私自身にもそういうバイアスはある)、それによってそれまで不可視にされていた差別が明らかにされることの効果を重視しますし、何よりそのバイアスを背負わされた生への最低限の敬意はあるのです。問題はその人が「痛い」かどうか、ではない。

(追記)

過去に梶川議員がtogetterや2ちゃんねるで晒しものにされた痕跡をチェックしてみると、なるほど、フェミニストや夫婦別姓論者に対する悪意に満ちたヒドい発言が多いのは事実。これでは「ネッ トでの批判=無責任な中傷」と偏見を抱いてもおかしくないくらい、と同情はする。ではあるが、そんな輩たちと一緒にしてもらっては困るのですよ。

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