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歯止めかけつつ武器禁輸の緩和を

2010/10/28付
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 武器の輸出を厳格に規制する武器輸出三原則の見直しが俎上(そじょう)にのぼり始めている。年末の防衛計画大綱の改定を機に原則を緩め、防衛装備品の国際共同開発・生産に道を開き、テロ対策などの武器輸出は認めてはどうか。そんな声が政府内や産業界からあがっている。

 佐藤内閣時代の三原則では、(1)共産圏(2)国連決議で輸出が禁止されている国(3)国際紛争の当事国または紛争の恐れのある国向けの輸出禁止を打ち出した。三木内閣で三原則対象外についても、輸出を慎む方針が加えられた。その後、米国向け武器技術供与などが例外扱いになったものの、厳格な原則は維持されている。

 国際社会に積極的に関与する必要が増しているのを踏まえれば、三原則の緩和は現実に沿っている。問題はどんな歯止めを設けるかだ。この点で慎重な議論が欠かせない。

 例えば、武器の共同開発や生産。現状では技術や部品も武器とみなされているため、外国企業との共同開発・生産に日本企業は原則加われない。次期主力戦闘機の候補に米英など9カ国が開発中の「F35」がある。日本は開発に参加できない。

 こうした場合、過去もそうだったように、購入価格が割高になりかねない。米欧の民主主義国との共同開発にはもっと弾力化の余地がある。

 ただし、武器禁輸は日本が平和国家としての存在を示せる重要な政策分野である。日本経団連は実質的な全面禁輸を見直し、案件ごとに内容や用途をみて武器輸出の可否を審査するよう求めている。

 輸出を認めるにしても、武器の内容や最終的に誰に供給するかを明確にする必要がある。テロや海賊対策が目的なら否定はできない。一方で、非民主的な国家には輸出すべきであるまい。防衛手段としてより、もっぱら大量に相手を殺傷するのを目的とするような兵器、ミサイルなど攻撃型兵器は、製造設備を含めた輸出の禁止を解くべきではない。

 欧米が軍事費を削減するなか、インド、ブラジルなどは拡大が見込まれる。米英仏などは新興国に輸出を拡大するが、日本は武器輸出が新興国の軍拡競争に拍車をかけないように、注意を怠ってはならない。

 防衛省によると2003年以降、戦車と戦闘機の関連分野で事業をやめたり、倒産した企業は56社ある。防衛予算が削減されたためで、防衛産業の技術・生産基盤の維持には武器禁輸の緩和が必要という。その事情は無視できないが、武器調達を透明にして限られた防衛予算を効率的につかうことも重要だろう。

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