最終更新: 2010/10/28 16:14

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事業仕分け第3弾 政府備蓄米事業をめぐっては身内から政策の矛盾を指摘される場面も

「特別会計を丸裸にする!」という、蓮舫行政刷新担当相の大号令で始まった事業仕分け第3弾。ターゲットは、「巨額」でありながら、その実態は明らかでなかった国の第2の財布「特別会計」だけに、初日から仕分け会場では、挑発や反発、怒りが交錯した。
仕分け人の蓮舫行政刷新担当相の「特別会計、丸裸にして、省庁や官僚のためではなくて、国民のためになっている特別会計なのかどうなのか」という大号令で幕を上げた、事業仕分け第3弾。
一般会計と違い、監視の目が届きにくい「特別会計」に、仕分けのメスが入った。
仕分け人の民主党・長島一由衆院議員は「10年前から、コメの消費が7〜8%落ちているんですね。消費量が減った分、(備蓄量を)減らせば、大体7〜8億円減るんじゃないか」とただすと、筒井信隆農水副大臣は「備蓄米は、食料安全保障を目的に設置されている制度です」と反論した。
紛糾したのは、備蓄米についてだった。
埼玉・日高市にある倉庫の中には、6メートル以上の高さにまで政府米が積み上げられていて、全体で5,800トンにもなる。
特別会計の「米管理勘定」から支出される備蓄米の管理費は、1万トンあたりおよそ1億円かかり、仕分け人は、現在の備蓄量100万トンを引き下げることで、経費削減できないかと探った。
しかし、筒井農水副大臣は「100万トンじゃ少ない! 安全保障としては、300万トンにすべきだという提起をして、インデックスにそう記載をしておりました」と反論した。
実は、民主党の「政策インデックス2009」には、「300万トンの備蓄体制を確立する」と明記されており、身内から政策の矛盾を指摘された形となった。
筒井農水副大臣は「財源の点だけから考えたら、(備蓄量を)ゼロにすればいいんですよ! だけど、そんなことしていいのかと。国民の...」と述べると、蓮舫行政刷新担当相は「あの、すみません。1点いいですか? どれくらいの頻度で回転されていって、さばかれているのであれば、備蓄の部分の経費節減効果というのは出てくるのではないか。その100万(トン)の是非というのは、これ、もう1回議論した方がいいと」と述べた。
筒井農水副大臣が、「5年程度たったときには、放出をしております」と反論すると、仕分け人の長島衆院議員が「国産米の備蓄と外国産米の備蓄で、両方で赤字を垂れ流しているのであれば、いっそのことですね、外国産米、MA(ミニマム・アクセス)米について、備蓄に組み込むと」と述べた。
これに対し、筒井農水副大臣は「確かに経費はかかってますが、これを赤字の垂れ流しというふうに言わないでくださいよ! きちんとした、安全保障の役割を果たしてるんですから!」と反論。
また、蓮舫行政刷新担当相が、「大きな改革っていうのは、それは農水省にとって大きいけど、われわれにとって大きいかどうかわからない」と述べたのに対し、筒井農水副大臣は「農水省にとってではなくて、農家にとって大きいんです。ものすごく、大きいんです」と述べた。
結局、備蓄は継続するものの、「国庫負担を1〜2割削減すべき」との結論を出した。
筒井農水副大臣は「今の、10〜20%国庫負担を減らすという形は、厳密に出しますが、そうしたら運営自体ができなくなるというものですから、その点は、今後も主張させていただきますので、お願いします」と述べた。
政府の備蓄米が法的に制度化されたのは、「平成のコメ騒動」と言われた、1993年の大凶作がきっかけだった。
2001年には、過剰在庫により、100万トン前後にまで減らすことが、政府・自民党によって話し合われた。
2007年には、コメの価格下落を防ぐため、逆に100万トンまで買い増しされた。
備蓄米の量は、コメの価格、そして政治と、切っても切れない関係にある。
茨城県で10代以上続く、コメ農家の野口洋一さんは、コメの価格に振り回されてきた1人。
収穫したばかりの新米を前に、政府の備蓄米が削減されれば、コメの価格が下がると、不安を募らせていた。
コメ農家の野口洋一さんは「政府が備蓄買い入れをしてくれないと、コメが余ってしまいますので。それでなくても、お米は余っていますので、それだけ、市場にコメがダボつきますので、市場価格は下がる。農家いじめかなと思うんですが」と話した。
矛盾をはらみつつ進められる、事業仕分け。
27日の作業では、ほかに、「貿易再保険特別会計」が廃止と判定された。
また、「職業情報総合データベース」、「ジョブ・カード」といった雇用保険事業についても、廃止という結論になった。
4日間続く仕分けで、無駄の温床の全容解明となるか。
仕分け人の蓮舫行政刷新担当相は「これだけ情報公開をして、皆さんに見える形で、オープンな議論をして、その結果、廃止というものは、わたしどもの1つの結果だと思います。公開しようという前向きな姿勢は感じられますが、まだまだ特別会計が是だという前提で、お話をいただいているのは、ちょっと残念ではあります」と述べた。

蓮舫行政刷新担当相が「丸裸にする」と宣言した「特別会計」とは、どのようなものなのか。
国の予算には、一般会計と特別会計の2種類がある。
一般会計の歳出規模がおよそ92兆円なのに対し、特別会計はおよそ176兆円と、倍の大きさとなっている。
特別会計は、一般会計に比べて仕組みが複雑なため、これまで、たびたび天下りなどが指摘されてきたにもかかわらず、抜本改革は見送られてきた。
かつて塩川元財務相は、2つの会計の関係を「母屋はおかゆなのに、離れで、すき焼きを食べている」というふうに表現していたが、特別会計にメスを入れなければ、本当の無駄の削減はできないと言われるゆえん。
そして民主党は、政権交代を果たした際の衆院選マニフェストで、特別・一般、2つの予算の全面組み替えで、16.8兆円の財源を捻出(ねんしゅつ)するとうたっている。
事業仕分け第3弾、初日の議論が対象としたのは、176兆円の中の、「その他」10兆円のうちのわずか数兆円で、そのうち廃止・見直しの判定が下されたのは、その一部にすぎない。
残り3日で「無駄の温床」と呼ばれる巨大予算をどこまで丸裸にできるのか、「チーム蓮舫」の手腕に注目が集まる。

(10/28 00:58)


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