ソフトバンクの王貞治会長(70)が26日、文部科学省より「平成22年度文化功労者」を顕彰された。プロ野球界からは川上哲治氏、長嶋茂雄氏(ともに元巨人)に次いで3人目となる。現役時代は「世界のホームラン王」として通算868本塁打の大記録を残し、現役引退後は巨人、ソフトバンクの監督を務めた。また、世界少年野球推進財団を立ち上げるなど、野球の普及への尽力が認められた。
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「世界の王」にまた新しい勲章が贈られた。「思いもよらなかった。プロ野球で一生懸命にやってきた人の代表として、たまたま私が認められたと思う。一つのことに取り組んできたことを評価されたと思います」。王会長らしく、謙虚に喜びを表現した。
2008年限りで監督を退いたが、ソフトバンクの球団会長を務めるなど、野球に対する情熱は変わらない。甲子園大会などのアマチュア野球の現場にも足を運ぶほどだ。「55年の長きにわたって野球とかかわってきた。野球の楽しさ、素晴らしさが私を野球一筋に打ち込ませてくれた」。
現役時代は長嶋茂雄とともに「ON」として巨人のV9時代を支えた。入団3年目の61年に荒川博コーチの指導の下、求道者のように練習に取り組み「一本足打法」を自分のものにした。翌62年から13年連続を含む15度の本塁打王に輝いた。77年には当時の世界新記録となる通算756号を放ち、初の国民栄誉賞を授与された。
現役引退後は助監督を経て84年に巨人監督に就任。一度のリーグ優勝に終わったが、95年からはダイエー(現ソフトバンク)監督に就任し、世間を驚かせた。「巨人」にこだわるのではなく、「野球」にこだわった決断だった。
巨人監督退任後は野球を全世界に普及、発展させるために「世界少年野球大会」の開催を提唱し、90年から野球教室などの実施に取り組んできた。こうした功績も高く評価された。「自分が知っている範囲のことは伝えたい。志す人にとって夢のある野球界でなくてはならない」。
王会長の野球伝道の旅はまだまだ終わらない。