親族を代表して弔問客にあいさつする長谷川穂積=兵庫県西脇市内(撮影・石湯恒介)
ボクシングのWBC世界バンタム級前王者・長谷川穂積(29)=真正=が、最愛の母から王座返り咲きへ力をもらった。
24日に亡くなった母・裕美子さん(享年55)の通夜が25日、兵庫県西脇市の斎場で営まれた。親族代表としてあいさつした長谷川は、300人以上の弔問客を前に目を潤ませ、声を詰まらせながら、母へ感謝の言葉を紡いだ。
「前回、4月に負けた時から母の体調が悪くなり、自分が負けたせいじゃないかと自分を責めた時期がありました。逆にこんなにつらい病気と闘っている母に励まされ、乗り越えることができました」
6月にがんの検査数値が悪化し、医者から「3カ月は持たない」と余命を宣告された。それでも最後まで苦しむ姿を見せず、笑顔で支え続けてくれた。24日の朝、家族全員が見守る前で、裕美子さんは大きく目を開いてニッコリとほほ笑み、静かに息を引き取ったという。
「一生懸命に闘って、昨日の朝まで、最後まで闘い続けてきた。母親が教えてくれたもの、のこしてくれたものを守りながら、これからも頑張っていきたい」
裕美子さんは、復帰戦となる11月26日のWBC世界フェザー級王座決定戦を、何より楽しみにしていた。息子が再び世界王座に就くことを信じていた。母の思いを胸に、母と一緒に、長谷川は再起のリングに立つ。
(2010年10月25日)