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長谷川号泣…「また会おう、オカン」

 母・裕美子さんの告別式で涙する長谷川穂積=兵庫県西脇市内(撮影・内田世紀)
 母・裕美子さんの告別式で涙する長谷川穂積=兵庫県西脇市内(撮影・内田世紀)

 ボクシングの前WBC世界バンタム級王者、長谷川穂積(29)=真正=が26日、がんのため24日に亡くなった母、裕美子さん(享年55)の告別式(兵庫県西脇市)で、親族代表のあいさつを行った。500人以上の参列者の前で、最愛の母へ「つらい時には夢に出てきて。また会おう、オカン」と涙ながらに呼びかけた。長谷川は1カ月後の来月26日、WBC世界フェザー級1位ブルゴス(メキシコ)との同級王座決定戦(日本ガイシホール)に挑む。

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 王座を奪取した時、そしてそこから陥落した時でさえ、ほとんど人前で涙を見せることがなかった男だ。しかし、最愛の母を亡くした喪失感には、耐えられるはずがなかった。

 喪主の父・大二郎さん(54)に続いて親族代表としてあいさつに立った長谷川は「僕ら兄弟5人は、たくさんの母の愛情を受けてきました。僕らの未来は大丈夫です」と気丈に切り出した。しかし「さみしがりやのオカンだったから、1人で逝くのが心配。兄弟を代表して少しオカンと話をしたいです」と言うと、こらえきれずに号泣した。

 「オカン、こんなにいっぱいの人が来てくれて、こんなにたくさんの花が届いたよ。多分、すごいうれしい思う」

 5人の兄弟を育て上げ、家族のきずなを常に大切にしてきた裕美子さん。長谷川の試合会場には家族で駆けつけ、4年前からの闘病生活中もリングサイドで常に息子を見守り続けた。「オレたち全員には強いきずなができていると思う。だから安心して天国に行って下さい。でも、誰かが悲しかったりつらかったりした時は、夢に出てきていつもの笑顔で話をいっぱいして下さい」。

 父の厳しい教えにボクシングから逃げ出したこともある。高校を中退し、家を出て自らプロボクサーの道を選んだ十代のころ。いつも自分を信じてくれたのは母だった。

 「迷惑かけて悪かったと思う。何もしてあげられなかったけど、本当に感謝してる。また会おう、オカン」。最後は声を振り絞った。世界戦まで1カ月。母が何より待ち望んだ王座返り咲きへ、長谷川がこん身の力で立ち上がる。

(2010年10月28日)

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