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【芸能・社会】

ベルリン・フィル日本文化と融合 絵本付き「くるみ割り人形」発売

2010年10月27日 紙面から

主人公クララを中心にした「くるみ割り人形」の一場面。鈴木康士さんが手掛けた

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 巨匠サイモン・ラトルが指揮するベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と日本が誇るアニメ、ゲーム業界のトップアーティストが初めてコラボレーションした絵本付きクラシックドラマCD「チャイコフスキー¨くるみ割り人形」が来月17日に発売されることが分かった。世界最高峰のオーケストラがこれまで考えられなかった世界と融合、欧米やアジア各国でも日本語入りのまま発売される見込みで、画期的な作品として話題になりそうだ。

 「くるみ割り人形」は、チャイコフスキーが生んだ3大バレエ音楽の一つで、ベルリン・フィルが現役の音楽監督のもとで録音したのは128年の歴史で初めて。ロシアものはあまり取り上げない傾向があったが、ラトル氏の意向で全曲録音したところ、クオリティーの高い演奏で曲の素晴らしさが再認識された。

 この2枚組CDは8月4日に日本で先行発売され、クラシックチャートで5週連続1位を獲得。「物語はクリスマスイブの夜に起こるファンタジー。これをもっと多くの人、特に子どもたちに聴いてほしい」と考えたEMIミュージック・ジャパンの児玉洋子プロデューサーが、異業種とのコラボを模索していたところ、クラシックへのアプローチを進めていたゲーム業界と思いが一致、企画は一気に進んだ。

 イラストは、トップクリエーター鈴木康士さんが手掛け、さらにホフマンの原作に忠実に、曲の合間に入れるナレーション、ドラマのセリフなどを創作。トップアニメ声優の石田彰、釘宮理恵が5つのナレーション、19のドラマを吹き込んだ。石田が9役、釘宮が4役というハードな作業だったが、音楽世界の想像をかき立てる、なじみやすい作品に仕上がった。

 見本盤を手にしたベルリン・フィルのメンバーらも「実にスタイリッシュな絵本だ」「自分たちの作品がこのような形になって、驚きと感激でいっぱい」などと日本流のアレンジを絶賛。クリスマスプレゼントとしても人気を呼びそうだ。なお、CD2枚入りのパッケージはタテ25・4センチ、ヨコ14・8センチで絵本は24ページ(税込み4300円)。

 ◆くるみ割り人形 クリスマスイブの夜、少女クララは老人からくるみ割り人形をプレゼントされる。兄と取り合いになり壊れてしまうが、老人が修理する。みんなが寝静まった深夜0時、クララの体が突然人形ほどの大きさに。そこに、はつかねずみの大群がやってきてくるみ割り人形が指揮する兵隊人形との戦いが始まる−。王子様やお菓子の国が出てくるファンタジー。

◆イラストレーターも声優も豪華な顔ぶれ

 ◇石田彰 愛知県日進市出身。江崎プロダクション付属養成所を経てデビュー。アニメ、ゲーム、洋画吹き替えなどで活躍する。アニメ「戦国BASARA弐」の竹中半兵衛、「NARUTO−ナルト−」の我愛羅、「新世紀エヴァンゲリオン」の渚カヲル、映画「タイタニック」のディカプリオなど。

 ◇釘宮理恵 大阪府生まれ熊本市育ち。98年声優デビュー。「灼眼のシャナ」のシャナ、「ハヤテのごとく!」の三千院ナギなどいわゆる“ツンデレ”系のキャラクターで人気。ほかにも「たまごっち!」のまめっち、「機動戦士ガンダム00」のネーナ・トリニティなど多彩な役柄で定評がある。

 ◇鈴木康士 札幌市出身。イラスト・デザイン・漫画・ゲーム開発など幅広く活動するクリエーター。小説の装画、挿絵なども手掛ける。代表作は、画集「The Art Of Yasushi Suzuki」、wiiソフト「罪と罰宇宙の後継者」アートディレクション、角川文庫「心霊探偵八雲」装画。

◆12・24にイベント

 12月24日に都内で「親子で楽しむ『くるみ割り人形』の世界」と題したイベントが行われる。ベルリン・フィルの演奏のダイジェストやメンバーからのビデオメッセージのほか今回のイラストをスクリーンに映し出し、石田、釘宮が実際にドラマを演じる。絵本付きCD「くるみ割り人形」購入者が応募できる。

 

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