【社説】城南市の「阿房宮」で横行していた官職の売買
水原地検城南支部は最近、京畿道城南市の6級(主査級)職員二人から昇任に関して便宜を図るよう依頼され、5500万ウォン(約398万円)を受け取ったとして、イ・デヨプ前同市長のおいの妻を逮捕した。また、別の6級職員に昇任を約束し、5000万ウォン(約363万円)を受け取ったとして、イ前市長の側近だった5級(課長補佐級)職員も逮捕した。イ前市長のおいの妻や、側近だった職員に金を渡した6級職員3人は5級に昇任した。なお、検察は、同市の職員15人が人事をめぐる汚職に関与していたとみている。
城南市の職員らが、カネで職を買っていた事件の中心人物は、イ前市長のおいのL被告だ。同被告はある建設会社から、公共工事を発注するよう依頼され、6000万ウォン(約434万円)を受け取ったとして、今年8月に逮捕された。L被告に対する公判で、検察は同被告を「城南の実力者」「市長の実質的な補佐官」と呼んだ。また検察は、城南市の職員約30人がL被告の携帯電話に、「忠誠を誓う」というショートメッセージを送っていた、と述べた。なお、L被告はイ前市長が国会議員在任中、補佐官を務めていた。
城南市の職員らの間では、5級職員への昇任には5000万ウォン、6級職員への昇任には3000万ウォン(218万円)の定価を支払わなければならない、といううわさが飛び交っていたという。今回の捜査により、そうしたうわさが事実だったことが明らかになった。検察はこのほかにも、公共工事を発注する見返りとして、業者から数千万ウォン(1000万ウォン=約72万円)を受け取っていた同市の職員二人も逮捕した。市長の親せきや、側近の職員らはカネを受け取って職員を昇任させ、また昇任のために対価を支払った職員らは業者からわいろを受け取り、対価の分を埋め合わせる。そんな、封建時代の上級役人と下級役人の間でまかり通っていたような汚職が、21世紀の城南市で横行していたというわけだ。
人口94万人を有し、職員715人を抱える城南市は、3222億ウォン(約233億円)を投じ、阿房宮(古代中国・秦の始皇帝が建てた大宮殿)のような豪華な庁舎を建て、世間の批判を浴びた。それだけでなく、市の内部では前近代的な官職の売買まで行われていた。これはまさに、城南市民の信用を崩壊させる行為だ。検察は、職員らが誰を当てにし、カネで職を買おうとしたのか、その背景について明らかにしなければならない。