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きょうの社説 2010年10月28日
◎読書週間スタート 石川で「朝の読書」9割実施を
読書週間(11月9日まで)がスタートした。今年は、幅広い世代が本と触れ合う機会
を増やすよう国会決議で定めた「国民読書年」でもある。石川県内の小中高では朝の10分間読書活動が浸透し、朝の読書推進協議会の調べで総実施率が86%に上昇した。わたしたちは昨年秋、石川県で朝の読書の9割実施を目指そうと呼び掛けたが、この1 年で81%から5ポイント上昇し、全国平均の72%を大きく上回った。この結果、昨年は2ポイント差を付けられていた富山県と肩を並べ、全国3位で総実施率89%の福井県の背中も見えてきた。全国トップは佐賀県の93%、2位は鳥取県の92%である。読書週間を機に、あらためて石川県での9割実施を目標に掲げ、朝の読書活動を広めていきたい。 石川県の場合、朝の読書の実施率が小中でともに90%に達しているのに対し、高校は 60%にとどまっている。高校に入ると、せっかく身に付いた読書習慣が失われてしまうケースがあるとすれば、もったいない話だ。高校での普及率を高める取り組みが求められる。 朝の読書活動を学校だけにとどめず、家庭に広げる取り組みも始まっている。朝の読書 に取り組んでいる小松市の向本折小は「親子読書」「チャレンジ10冊」活動を通して読書習慣を家庭まで浸透させ、児童1人当たりの図書貸し出し数が年間100冊を超えた。子どもに触発されて、親の読書熱も高まっているという。 読書離れが懸念されるのは、子どもより大人の方かもしれない。「出版文化産業振興財 団(JPIC)」が昨年行った調査では、30代の27・4%、40代の24・5%が月に1冊も本を読まず、月に3冊以上読むのは、60代が最も多かった。子育てをする年代が忙しいという理由で一番本を読まないのでは、子どもに読書の習慣を身に付けさせるのは難しい。 実際、JPICの調査では、親から本を読んでもらった人の4割以上が月に3冊以上の 本を読んでいるのに対し、親に本を読んでもらうなどした経験のない人の4割近くは1冊も読んでいなかった。秋の夜長に、子や孫と本を開いて過ごす時間をつくりたい。
◎関西広域連合 北陸も独自の連携強化で
年内に発足する見通しとなった2府5県による「関西広域連合」は、広域行政推進や地
方分権の受け皿として、果たして絵に描いた通りに機能するのか、北陸としても見過ごせない動きである。7府県は、将来の道州制を見据える考え方や慎重な立場が混在し、温度差もかなりある 。同床異夢の不安定な組織基盤であれば過大な期待は禁物だが、実現するとは思えない道州制に拠らない広域行政の姿が見えてくるのであれば、一つの参考にはなろう。 関西だけでなく、九州地方知事会も今月、分権の進展を視野に「九州広域行政機構」( 仮称)の設立で合意した。やり方は異なるとしても、県域を超えた連携強化は全国規模で進み、ブロック単位の競争も激しさを増していくだろう。 民主党政権の地域主権改革には不透明感が漂っているが、2014年度に北陸新幹線金 沢開業を控え、その先に福井延伸を見据える北陸としては、新幹線時代の備えという点でも3県の一体化はますます重要になっている。 石川、福井県知事の合意で、両県にまたがる「越前加賀広域観光推進協議会」が発足し たように、北陸では隣県同士の取り組みが活発化してきた。地域ブロック間の競争に打ち勝つには、行政としても3県の体制をさらに強化する必要がある。新幹線開業を見据えるなら、まずは観光分野で広域推進体制を再構築してもよいだろう。北陸全体が活性化できる独自の連携策を探っていきたい。 関西広域連合は地方自治法の地方公共団体に位置づけられ、防災、観光・文化の振興、 産業振興、医療、環境安全など7分野で協力することが決まった。手始めとして広域の防災計画策定や救援物資の共同備蓄、観光ルート設定、ドクターヘリの広域活用などに取り組む予定だが、利害が絡む問題で運営が円滑に進むか課題も多い。 関西広域連合や九州などの動きは、国から権限移譲を促す狙いがあるとしても、国出先 機関の受け皿は基本的には都道府県である。政府はその原則に基づき、改革を着実に進めてほしい。
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