クラブハウスを出て、検査のため病院に向かう闘莉王=愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで
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J1首位を走る名古屋グランパスに暗雲がたれ込めた。23日の神戸戦(ホムスタ)で負傷したDF田中マルクス闘莉王(29)が25日、愛知県内の病院で検査を受け、右ハムストリングの肉離れで全治2週間と診断された。30日のC大阪戦(豊田ス)はもちろん、11月7日の鹿島戦(カシマ)も、闘将抜きでの戦いを強いられることが濃厚となった。
病院での検査を終えて、クラブハウスに戻った闘莉王の表情は心なしかこわばっていた。「きのう(24日)は歩けなくて寝転がりっぱなしだったけど、きょうは歩ける」と、明るく出発したときとは対照的だった。
「自分の感覚では、(筋肉が)完全に切れている。復帰までは2、3週間かかると思う」と、力なく話した。4位のC大阪、2位の鹿島と続く上位との対戦に出場することは絶望的。「この大事な時期にいないのはつらいけど、できることは応援することだけ。みんなに自信を持ってやらせてあげたい」と、後方支援に回る覚悟を決めた。
「やるべきことははっきりしている。この2戦は大事なので集中してほしい。勝ち点差を広げてきたので、守りに行かず、勝ちに行ってほしい」と、思いをチームメートに託した。左DF阿部は、「トゥさん(闘莉王)の存在は大きいが、チームも成長している。ほかのメンバーでカバーしたい」と、その気持ちに応えるつもりだ。
W杯南アフリカ大会以降、闘莉王は常に、戦線離脱の危機とも戦っていた。神戸戦での負傷以前にも、右わき腹痛や右ひざ痛も爆発寸前だった。「今季はW杯もあって休める状況ではなかった。どこかが壊れると思っていた」。どこかでリセットしなければならなかったのかもしれない。
しかし、もちろん、J1優勝が迫っている今季の出場をあきらめたわけではない。「メディカルスタッフには、1戦でも早く復帰できるようにしてとお願いした。みんなと気持ちを1つにしてやっていきたい」。1日も早い復帰を目指して、驚異の回復力を発揮する。 (伊東朋子)
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