世界で最も有名なタコだったパウル君。欧州だけでなく、アジア、アフリカなど世界各国から“引っ張りダコ”の人気者だった英雄は、突然この世を去った。
25日夜から26日未明にかけて死亡したもようで、死因は老衰という。パウル君は2008年1月、英南部生まれ。タコの寿命は長くても4年とされ、すでに2歳9カ月のパウル君は寿命が近いとみられていた。シーライフ水族館は26日、「素晴らしい生涯を送った。われわれに感動を与えてくれた」との声明を発表し、その死を悼んだ。
パウル君はW杯南ア大会でドイツ代表の1次リーグ3試合の勝敗を的中させ、注目を集めた。決勝トーナメントでもドイツが準決勝でスペインに敗れることを予想、的中させ、熱狂的なドイツ・サポーターから「水槽にサメを入れろ!」「パエリアにして食べてやる!」など恨みを買った。それでも3位決定戦でドイツの勝利を予想して的中、決勝戦でのスペイン優勝も当ててW杯通算8戦パーフェクト的中を手土産に占いから“勇退”していた。
それでも、優勝したスペインの企業が「マスコットに使いたい」といったオファーや、最近では2018年のW杯招致を目指すイングランドの招致大使に任命されるなど人気者だった。
気になるのは“今後”だが、中国の博物館が今年7月、「死後に永久保存したい」と水族館側にオファーを出し、世界中を巡業する計画を明らかにしている。しかし水族館側は、敷地内に記念の展示コーナーを設置、火葬にするパウル君の遺灰を残すことを検討している。また、既に“後継ダコ”も育成中で、同じく「パウル」と名付け、先代と同様に「占い活動」をさせ、14年W杯ブラジル大会に備えるという。