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【医薬最前線】第4部 命と採算の狭間で(4) 重篤者に「未承認」のハードル (1/3ページ)
「小さな白いカプセルを手にして全身が震えた」。佐賀市に住む高藤優美さん(37)は、今月19日の感動をそう表現した。
手にしたのは、待ちに待った治療薬「ミグルスタット」。「日本では使えない」と言われた続けた薬だった。
高藤さんの長女、吾子(あこ)ちゃん(5)は、日本に20人ほどしか患者が確認されていない希少疾患「ニーマン・ピック病C型」と闘っている。
細胞内の脂質を輸送するタンパク質が欠損し、細胞内にコレステロールや糖脂質が蓄積する難病。進行すると脳や神経が破壊され、やがて寝たきりになる。
吾子ちゃんは、生後3カ月で、ニーマン・ピック病C型と診断された。すくすくと育っていたが3歳のときに症状が悪化。昨春には歩くことすらできなくなった。
すがる先がないわけではなかった。欧州では治療薬「ミグルスタット」が承認されている。
父の恒泰さん(40)は個人輸入を考えた。だが聞かされた値段は「年間500万円」。経済的な壁の前に、万策尽きてしまった。
■ ■
海外では標準的な治療に使われている医薬品が日本で使えないことがある。その格差は「ドラッグ・ラグ」と呼ばれている。
医薬品の承認には安全性や有効性を確認するための治験(臨床試験)が欠かせない。日本で承認されるには、原則、日本での治験が必要とされる。
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