2010年9月1日 21時47分 更新:9月2日 1時2分
民主党代表選(14日投開票)が1日告示され、立候補を届け出た菅直人首相(63)と小沢一郎前幹事長(68)は東京都内のホテルで共同記者会見に臨んだ。小沢氏が菅首相の政権運営を「官僚依存」と批判すれば、菅首相は「政治とカネ」の問題を抱える小沢氏の「首相としての資質」に疑問を呈する応酬を展開。小沢氏は09年衆院選マニフェスト実現の争点化を狙い、首相は消費税を含む財源論や雇用対策を強調し政権継続を訴えた。【高山祐】
共同会見の冒頭に仕掛けたのは小沢氏だった。「来年度の予算編成は財源がないということで一律1割削減という方針が決められた。政治家が自らの責任で予算を決定できる態勢を作らなければならない」。各省一律に上限(シーリング)を設ける自民党政権時代と変わらない「官僚依存」の概算要求になり、政治主導になっていないとの批判だ。
小沢氏はさらに、無駄削減によって財源を捻出(ねんしゅつ)することをうたった衆院選マニフェストを「国民との約束」と強調。「実態は違うというところに、国民の期待が薄れてきている最大の原因がある」として、財源不足を理由にマニフェストを修正したことが国民からの支持を失う要因になっていると主張した。
これに対し、首相は「クリーンでオープンな民主党」をスローガンに掲げ、小沢氏にまつわる「政治とカネ」問題と不透明な党運営からの脱却を宣言。政治主導は「これから本格化する段階」と反論し、「社会保障の在り方と財源問題を一体で議論する中で消費税も含めた議論をしていくことが重要だ」と消費税論議を積極的に進める考えも示した。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題では、小沢氏は「今のままでいくらやろうとしても、沖縄県民が反対する以上はできない。県民も米政府も納得できる案を見いださなければならない」と日米合意を見直す意向を表明した。首相は「白紙に戻すのでなく、小沢さんは幹事長の立場で鳩山政権で合意したことに責任を持って臨んでいただきたい」と注文。すると、すかさず小沢氏が「ちょっとすんません」とわざわざ手を挙げて発言を求め、「白紙に戻すと言っているわけではない。幹事長時代は政府の政策決定にまったく関与していない」と反論してみせた。
首相も小沢氏を挑発した。「小沢さんにはどういう首相になるのかを国民にしっかりと伝えていただきたい。(国会の)予算委員会に長い間、座っている場面がなかなか想像できない」と小沢氏の健康問題に踏み込んだ。党内では「代表に当選しても別のだれかを首相にするのでは」ともささやかれる。笑顔を浮かべた小沢氏は「民主党のトップリーダーを選ぶことは首相を選ぶこと。20年以上前に既に閣僚を経験し、長時間、予算委員会に座って答弁してきた。自分自身の持ち味で誠実に淡々と役職をこなしていくことができるのが首相、政治家としての資質だ」と首相に就く決意を語った。