民主代表選:財界は菅首相続投に期待

2010年9月1日 21時17分

 菅直人首相と小沢一郎前幹事長との一騎打ちとなった民主党代表選を経済界は複雑な表情で見つめている。円高・株安が進み、景気の先行き不安が高まるさなか、代表選が優先され、政策対応が遅れることを懸念しているほか、財界と距離を置く小沢氏が勝利した場合、政権との関係が再び冷え込む不安もある。

 「追加経済対策(の実行)は一日の猶予も許されない。政治空白を生まないことが重要だ」--。日本商工会議所の岡村正会頭は1日の会見で経済対策が後回しにならないように注文した。さらに足元の円高・株安進行に絡んで「民主党(内)の抗争が続き、(市場に)政治不信を持たれていることも影響している」と指摘。代表選が民主党内抗争を激化させ、政治の不安定化につながることを憂慮した。

 多くの財界首脳の本音は菅首相続投支持だ。「強い経済、財政、社会保障」を旗印に税財政の一体改革を掲げる菅政権の路線は、財界の主張にも沿う。日本経団連の米倉弘昌会長は先の参院選で民主党が惨敗した直後も「菅首相続投を支持する」と明言。経済同友会の桜井正光代表幹事も「新成長戦略や税、財政、社会保障の一体改革に挑む姿勢を評価したい」と菅政権の継続に期待を示した。

 経団連には、民主党への政権交代後の鳩山前政権時代に、小沢幹事長(当時)の主導で政府・与党に距離を置かれ、政策要望さえままならなくなったトラウマもある。菅政権になって、経団連は円高対策を要望するなど政府との対話が復活したばかり。経団連関係者の間には「小沢氏が代表選に勝利し、政権につけば、政府との関係が再び冷え込む」との警戒感も漂う。【米川直己】

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