民主代表選:“菅VS小沢激突”2氏が届け出

2010年9月1日 10時31分 更新:9月1日 14時54分

民主党代表選への出馬を表明した菅直人首相=東京都千代田区で2010年8月31日、久保玲撮影(写真左)民主党代表選への出馬を表明した小沢一郎前幹事長=民主党本部で2010年8月31日、石井諭撮影(同右)
民主党代表選への出馬を表明した菅直人首相=東京都千代田区で2010年8月31日、久保玲撮影(写真左)民主党代表選への出馬を表明した小沢一郎前幹事長=民主党本部で2010年8月31日、石井諭撮影(同右)

 民主党代表選が1日午前告示され、小沢一郎前幹事長(68)、菅直人首相(63)の順に2人が立候補を届け出た。首相選びにつながる代表選は一騎打ちが確定。対決回避を目指した鳩山由紀夫前首相の仲介が失敗したことで、現職首相と党内最大勢力を率いる実力者による党を二分した戦いとなる。財源確保が困難な衆院選マニフェスト(政権公約)のあり方や消費税増税、「政治とカネ」、政権運営のあり方などをめぐり、14日の投開票に向けて熱戦が展開される。

 首相と小沢氏は1日午前、党を通じて政見を発表。首相は消費税を含む税制改革について「徹底した議論により国民の理解と納得をいただく」との考えを示した。党運営の基本として「クリーンでオープンな民主党」を強調。選挙対策費など党の資金について「各地域の声を受け止め、透明なプロセスを経て配分する」と記すことで、「閉鎖的」とも指摘された小沢氏の幹事長時代からの脱却を打ち出した。衆院選公約も「財源の制約で実現が困難な場合は率直に説明する」として、柔軟に見直す考えを打ち出した。

 これに対し、小沢氏は政見に「政権公約を誠実に実行する」と明記。子ども手当は現行の月額1万3000円を11年度に2万円、12年度に満額の2万6000円に引き上げる方針を強調した。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題では「沖縄県、米政府と改めて話し合いを行う」と日米合意の見直しを示唆した。「政治とカネ」や消費税増税への言及はなかった。

 両氏は同日午後4時から、東京都内のホテルで共同記者会見し、政見を正式に発表する。

 立候補の受け付けは同日午前、国会近くの党本部で行われ、両陣営が立候補要件(国会議員20人以上)を上回るそれぞれ25人の推薦人名簿を提出した。現職首相が与党第1党の党首選に立候補するのは、03年の小泉純一郎首相(当時)以来。

 ◇小沢氏は総決起集会、菅首相は防災訓練視察

 小沢氏は同日午前、国会内での総決起集会で第一声を上げ「不肖の身だが、自分自身が先頭に立ち、国民の期待への責任を果たしていく」と決意を表明。「役所が仕切る政治・行政の仕組みを根本から変えて初めて『国民の生活が第一』が実現できる」と語った。

 集会には、国会議員約140人(陣営まとめ)が出席。また、鳩山氏のグループも同日午前の会合で小沢氏の支持を確認した。優勢な国会議員票を足場に、地方票固めにも手を伸ばしている。

 首相は午前10時過ぎ、首相官邸をヘリで出発して静岡県伊東市での防災訓練を視察。終了後、記者団に代表選への意気込みを問われ「これからの総理を決める代表選だ。全国のみなさんに首相をどちらの候補にやらせるのか、大いに声を上げてもらいたい」と語り、世論の後押しに期待感を示した。

 今回の代表選は党所属国会議員と地方議員のほか党員・サポーターも参加する02年9月以来8年ぶりの本格的な代表選となる。412人の国会議員票は1人2ポイントに換算▽2382人の地方議員投票は一括して集計され、100ポイントが得票割合に応じてドント式で配分▽党員・サポーター34万2493人の投票は300の小選挙区ごとに集計され、得票の多い候補に1ポイントが配分--され、両候補は総計1224ポイントの過半数を争う。

 両候補は2日、東京・内幸町の日本記者クラブで討論会に臨む。また立会演説会は、4日午後1時東京・新宿駅西口▽5日午後3時大阪・JR大阪駅前▽9日午後3時札幌・大通公園--の全国3カ所で行われる。【竹島一登】

 ◇政見骨子

 菅直人首相、小沢一郎前幹事長の両陣営が民主党代表選の立候補時に党中央代表選挙管理委員会に提出した政見の骨子は以下の通り。

 <菅氏>

・クリーンでオープンな党運営を行い、党資金は透明なプロセスで配分

・社会保障改革や消費税を含む税制改革で徹底議論し、国民の理解を得る

・衆院選マニフェストは無駄削減に全力を挙げ、できる限り誠実に取り組む

・国家公務員人件費の人事院勧告を超えた削減を目指す

・予算は首相が直接指揮して編成。国家戦略室を政策を構想する組織に強化

 <小沢氏>

・昨年衆院選マニフェスト実行に全力を挙げる

・高速道路は国が建設費を支援して都道府県が自ら行う

・子ども手当は11年度に2万円、12年度から2万6000円に引き上げる

・米軍普天間飛行場移設問題は、沖縄県、米政府と改めて話し合う

・「新しい公共」でボランティアや企業の社会貢献活動を支援する

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