2010年8月31日 21時37分 更新:8月31日 23時21分
財務省は31日、11年度一般会計予算の概算要求の提出を締め切った。各省の要求総額は96兆円台後半に達したとみられ、過去最大の規模になった。社会保障費の自然増約1.3兆円を容認したほか、借金返済に充てる国債費が24.1兆円と10年度を3.5兆円上回ったことが主な要因。要求額のうち、成長戦略などに充てる「特別枠」向けの要望は約3兆円に上った。
7月に閣議決定した概算要求基準では、国債費を除く歳出を10年度並みの約71兆円以下に抑えることを前提に、各省庁が前年度予算比で一律1割削減。その上で、「1兆円を相当程度超える額」の特別枠を設定し、成長戦略や民主党マニフェスト(政権公約)に関連した政策に予算を集中的に各省に配分する。
特別枠向けの要望には、厚生労働省が「子宮頸(けい)がん予防」に150億円要求したほか、文部科学省が「小学校1、2年生における35人学級の実現」に2247億円を求めた。
マニフェスト関連では、農水省が農業の戸別所得補償制度で、前年度より約2150億円上積みした7769億円を要求。高速道路の無料化は1500億円と、国土交通省は10年度からの上積みを500億円にとどめた。10年度から半額支給(月1.3万円)を開始した子ども手当の上積みについては、厚生労働省が予算編成の過程で予算額を検討する「事項要求」として提出した。
政府は今後、事業仕分けなどを含め要求額の切り込みを図るが、国債費の増額などで一般会計総額が前年度当初(92.3兆円)を上回り、過去最大となるのは確実な情勢だ。【坂井隆之】