民主代表選:小沢氏出馬、首相と対決へ 会談決裂

2010年8月31日 17時59分 更新:9月1日 8時1分

民主党本部での会談を終え、記者の質問に応える菅直人首相(右)と、会見で出馬を表明する小沢一郎前幹事長
民主党本部での会談を終え、記者の質問に応える菅直人首相(右)と、会見で出馬を表明する小沢一郎前幹事長

 民主党代表選は1日告示される。全面対決回避に向け、菅直人首相と小沢一郎前幹事長が31日、党本部で会談したが決裂。挙党態勢構築を条件に小沢氏不出馬で進めた党内調整は不調に終わり、両氏の一騎打ちの構図となる。両氏は会談後、立候補を正式表明。14日の投開票に向け党を二分する激しい選挙戦に突入する。党内最大勢力を率いる小沢氏が国会議員票で優位に立っており、菅首相は世論の支持を背景に党員・サポーター票の獲得で巻き返しを狙う。選挙結果によっては党分裂含みの展開も予想される。【須藤孝】

 「密室批判を受けかねないので(会談を)やりたくないという趣旨の話があった。挙党一致の態勢をつくるべきではないという考えだった」。31日夕、党本部で菅首相と約30分会談した後、記者会見した小沢氏は恨み節を漏らした。決裂に至ったのは「挙党態勢」を拒否した首相の責任だ、という主張だった。

 直後に会見した首相は「挙党態勢に反対したことは一切ない」と反論。「人事は密室でやるべきではない」と小沢氏側から執拗(しつよう)にポスト要求があったことまで暴露した。

 30日夜、首相公邸。会談を終え、報道陣の前にそろって現れた菅首相と鳩山由紀夫前首相は、昨年夏の政権交代まで党のシンボルだった小沢、鳩山、菅3氏の「トロイカ体制重視」を確認したと明らかにし、首相は小沢氏と会談する意向を示した。

 それが一転したのは31日午後、衆院議員会館での鳩山、小沢両氏と輿石東参院議員会長の3者会談の最中。鳩山氏は事前に首相から「待ってくれ」との電話を受け取っていたが、首相からはなしのつぶて。「菅さんも周囲にネジを巻かれているんだろう」と言って黙り込む小沢氏。しびれを切らした鳩山氏が首相に電話をかけ、「いまここで4人で協議して決めましょう。その方が政権が安定する」と呼び出そうとした。

 しかし、首相は突き放した。「4人で会えば密室談合と言われる。人事の話しはしたくない」。「昨日と言っていることが違うじゃないですか。話し合いがなぜ密室なのか」と鳩山氏は困惑を隠さなかった。

 首相がかたくなな態度を見せたのは、人事構想を練る誘いと受け取ったからだ。首相は「人事を事前に決めたら首相として続いても、政治家として続かなくなってしまう」と拒否の姿勢を譲らなかったが、鳩山氏は「人事の具体的な話は終わってからでいい」と説得。その後首相は鳩山氏に「小沢氏との会談をやるなら、人事抜きで2人で会う」と通告した。

 鳩山氏には、首相の態度が前夜から急変したと映った。小沢氏側近は、小沢氏は「首相がそこまでトロイカのことを言うのなら」と出馬見送りに傾いていた、と明かす。

 しかし、首相には、小沢氏との会談は「トロイカ重視」を直接伝えるためで、態度を変えたのは、人事の話を持ち出した鳩山氏側だ、との認識だった。

 首相への圧力も強硬姿勢の背景にあった。30日夜、東京都内のホテルに参集した菅氏支持派幹部の会合は紛糾した。「トロイカなんて絶対ダメだ」。「対決回避」やむなしの声が出る一方、枝野幸男幹事長らが対決姿勢を譲らなかった。

 小沢氏側が一貫して要求していたのは「反小沢」の象徴、仙谷由人官房長官と枝野氏の交代。「トロイカ重視」は「仙谷外し」などを意味すると小沢氏側は受け止めていた。

 だが、首相は強く抵抗した。小沢氏との会談で官房長官や幹事長人事に話が及ぶことを恐れた。首相は31日午後、衆院議員会館の自室に選対幹部を集めた会合で電話協議の内容をぶちまけ、「(トロイカ重視とは)何かあったら相談するという意味だ」と説明。「脱小沢」に舞い戻った。

 首相と3回にわたって会談、小沢氏との仲介役を務めた鳩山氏は31日夜、会食した橋本大二郎前高知県知事に漏らした。「ゆうべ(30日)のうちに決着をつけておけばよかった」

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