2010年8月31日 10時45分 更新:8月31日 15時11分
政府は31日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先として同県名護市辺野古周辺に造る代替施設の配置や工法をめぐる日米専門家協議の報告書を公表した。06年の日米合意に沿って滑走路2本をV字形に配置する案と日本側が提案した滑走路1本の2案を併記。米側は「V字案が最善」との姿勢を崩していない一方、沖縄側は辺野古移設に強く反対しており、政府は移設計画の決定を11月の沖縄県知事選後に先送りする方針だ。
公表に先立ち滝野欣弥官房副長官が31日午前、首相官邸で上原良幸同県副知事に報告書の内容を説明した。上原氏はこの後、記者団に「移設は極めて困難との認識は変わらない」と述べた。
報告書によると、辺野古崎海域を埋め立てる。1800メートルの滑走路を2本配置するV字案と、陸側に1本とするI字案の2案で、埋め立て面積はI字案の方がV字案より25%小さく、工期も短縮できると明記した。
ただ、米側が垂直離着陸機MV22オスプレイの配備に絡め、飛行ルートを日米合意よりも陸地寄りの空域に変更するよう求めたが、日本側が難色を示したため明記を見送った。
日米両政府は、当初は8月末に移設案を一本化し、9月の国連総会に合わせて外務、防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)を開いて具体的な移設計画を決める段取りを描いていた。
しかし、11月28日には埋め立て許認可権を持つ沖縄県の知事選があり、早期に移設計画を決定すれば地元の反発を招いて移設がより困難になると判断。決着を知事選以降に先送りする方針に転じた。【西田進一郎、仙石恭】