2010年8月29日 2時32分
厳しい残暑が続き日中の最高気温が連日話題になるが、夜の最低気温があまり下がらないのも今年の特徴だ。気象庁によると、26日時点で青森市や横浜市、松江市、山口市など22地点で熱帯夜(最低気温25度以上)の最多日数記録を更新している。東京都心も、29日にも過去最多タイの47日に並び、更新することが確実な情勢。東・西日本は9月初旬も暑さが続く見通しで、しばらくは寝苦しい夜が続きそうだ。
熱帯夜の原因として真っ先に挙げられるのが、コンクリートやアスファルトで覆われた地面が日中に蓄積した熱を夜間に放出し、気温が下がらないヒートアイランド現象。特に東京や大阪など大都市部で熱帯夜が多い主要因となっている。
しかし、今年は新潟県佐渡市や静岡県三島市など大都市部以外でも、熱帯夜日数の記録更新が目立つ。気象庁天気相談所は「いくら暑いといっても、例年は台風や前線の影響などで天候が悪化する時があるが、今年はそれが少ない。また、太平洋高気圧の中心が日本列島付近にあり、風が弱いことも気温が下がらない原因だろう」と説明する。
東京都心の熱帯夜日数の最多記録は94年の47日。今年は28日時点で46日に達し、今後も熱帯夜が続けば29日に並び、30日に更新することになる。同相談所は「今後も暑い日が続く見込みで、最短で記録を更新する可能性は高い」とみている。
熱中症の危険性は夜にもある。東京都監察医務院によると、梅雨明け以降の東京23区内の熱中症による死者125人のうち、死亡時刻が不詳の人を除くと約4割が夜間に死亡した。
同医務院は「夜間も室内の風通しをよくして、高温多湿にならないようにするなど、十分な対策をとってほしい」と呼び掛けている。【飯田和樹】