専門家ゲスト:信田さよ子さん (臨床心理士・原宿カウンセリングセンター所長)
ゲスト:室井佑月さん(作家)、麻木久仁子さん(タレント)
パターン出演:山本貴代さん(「女の欲望ラボ」主宰)
40代女性が抱える心と体の悩み(ミッドライフクライシス)に向き合うキャンペーン。第7回では母と娘の関係について考えました。
娘にとって母親は、気がおけない、一番身近な女性であり、いくつになっても特別な存在です。特にキラキラ40世代は、母との結びつきがディープな世代と言われています。母の老いを実感して関係を見直したり、自分と子供とのトラブルをきっかけに母との関係の問題点に気づいたり…これまでとは違う悩みが生まれることもあります。
そこで番組では、アンケートを実施。40代女性の皆さんから寄せられたエピソード497件を徹底分析し、親離れできない「べったり派」、子離れしてもらえない「うんざり派」、老いを迎えた母との付き合い方に悩む「すれ違い派」という3つの傾向を割り出しました。こうした関係の背後にあるのは、娘が40をすぎてもなお「親離れ子離れ」できていないという現実。それが今となって、「母の老い」を契機に、“クライシス”として噴出するのです。
他にも、お悩みに直面している方の実例を取材。さらには気になる母の本音も直撃しました。そしてスタジオには専門家をお招きし、「母とのこれから」を円満に過ごすにはどうしたらいいか、考え方、付き合い方のコツを伺いました。
社会人として最も多忙で責任重大な時期を迎えている娘と、老いに直面しつつある母。これまでとは同じ関係ではいられません。そんな今だからこそ、これまでとは違う距離感で、お互いに心地よい関係を模索する必要があるのではないか?というメッセージをお伝えしました。
●40代の女性視聴者497人の声から、3つのタイプが浮かび上がりました。
1.うんざり派:加齢の不安やさみしさから、干渉がエスカレートする母に“うんざり”。
2.すれ違い派:老いから弱気・ネガティブになってしまった母の本心がつかめず、“すれ違い”。
3.べったり派:母がいつまでも元気でいるとは限らないのに、未だに甘えて“べったり”。
●「女の欲望ラボ」主宰、山本貴代さんによると、上記3タイプの背景には、キラキラ40世代特有の母娘関係があるといいます。
●それを表すキーワードは、母「嫁いでも娘は娘」(昔は嫁いだら)/娘「頼るのも親孝行」。
キラキラ40世代は、仲良し母娘のパイオニア。その親離れ、子離れできていなさが、「母の老い」を契機に、“クライシス”として露呈する。
●寄せられたお悩み
子ども時代、100点取って当たり前、98点でも厳しくしっせきする母がつらかったという女性。
自分が母となった今子どもに同じように接してしまい自己嫌悪に陥っている。
●娘に過重なプレッシャーを与えてしまう母は、なぜそうしてしまうのか?
1.娘に幸せになって欲しいという母の愛が、そうならなかったらどうしようという心配に変わり、いつしか自分の言う通りにさせないといけないという支配に変わってしまう。
2.家庭は密室のため、娘は母の支配を受け入れて育つ。他の「母モデル」を知らないため自分が母になったとき、同じように行動してしまう。
●支配する母にどう接すれば?信田さんからのアドバイス。
1.母とは考え方が違うと認める(罪悪感を抱かなくてよい)
2.母に「自分は違う」「自分はつらい」と伝える。(理解してもらうことより、伝えるということが大事)
3.母と心理的、物理的に距離を置く。
●寄せられたお悩み
反対を押し切って結婚、遠方へ。以来、母との関係がギクシャクしてしまったという女性。
新婚当初、電話で母に相談事をすると「あなたが決めたことでしょ?」と突き放されたことが心に引っ掛かり、以前のように甘えられない。母も、自身の体調に関わることなどを教えてくれなくなってしまった。
●今回番組では、母の本音を取材。娘の悩みは、説明不足や言葉の取り違いによるものと判明。
●母の気持ちを勘ぐってしまう娘へのアドバイス。
「言わなくてもわかる」は大間違い。照れずに気持ちを伝えることが、円満な関係のコツ。
●アンケート回答のなかでも多かったのが、最愛の母の老後を心配する声。
番組では、40代で母の介護に直面し、母に依存されて悩んだ娘のエピソードを紹介しました。
(※2009年9月放送「もしも明日…」で放送したドラマを再構成、ご本人への取材と合わせてお伝えしました)
●エピソード内容:介護の局面で、娘に依存する母
持病が悪化し、介護が必要になった母。父と不仲だった母は、仲良しだった娘に全てをささげて介護するよう命令するが、娘は仕事や家庭があるため、母の要求に応えられず、疲労困ぱい。
母を施設に入れることも検討するが、父が奮起、自宅で母に寄り添いながら介護。
父と母、母と娘ともに円満な関係を取り戻す。
●信田さんからのアドバイス
仲がよすぎる母娘は、一歩間違うと「母には私しかいない「娘だけが頼り」という関係に陥り、苦しくなりがち。「父/母の夫」が機能することで、母娘関係もむしろ良好になる。
母の関係がうまく行かず、直接向きあっても関係が改善しない、父や夫にも頼れないという人もいる。そんな娘たちが集まる自助グループ「墓守娘の宴」を紹介。
●墓守娘の宴
参加者は、それぞれが抱いている母への複雑な思いを率直に語り、聞いてもらう。
そうすることで、自分の内面を振り返り、心の落ち着きを取り戻すのが狙い。
<問い合わせ先>
信田さんが所長を務めるカウンセリングセンター
原宿カウンセリングセンター
東京都渋谷区神宮前6-24-4 観世ビル3F
電話:03-5469-0006
ファックス兼用:03-5469-0013
ホームページ:http://www.hcc-web.co.jp
広瀬香美『とろけるリズム』
ビクターエンターテインメント
VICL-36557
2009年12月16日発売