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合祀取り消し訴訟 訴え退ける

10月26日 17時57分 twitterでつぶやく

太平洋戦争の沖縄戦の戦没者の遺族が靖国神社への合祀の取り消しを求めた裁判で、那覇地方裁判所は「合祀への不快感だけを根拠に法的に救済することはできない」として遺族の訴えを退けました。

この裁判は、昭和20年の沖縄戦の遺族5人が「戦争の被害者である家族を国のために亡くなった英霊として靖国神社に無断で祭られ自由に追悼する権利を侵害された」と主張して、靖国神社と、神社に戦没者の名前を提供した国に合祀の取り消しや賠償を求めたものです。26日の判決で、那覇地方裁判所の平田直人裁判長は「民間人だった家族が英霊として祭られることに遺族が不快感や嫌悪感を抱くのは理解できないわけではないが、こうした感情は、信教の自由を妨害する具体的な行為があって初めて法的に保護される」と指摘しました。そのうえで「靖国神社の合祀は戦没者をおとしめたり、社会的な評価を低下させたりするものではなく、遺族に対する信教の自由の妨害行為があったとまでは認められない」と判断しました。さらに、国の合祀へのかかわりについても、「戦没者の名前の提供は付随的な事務にすぎず、合祀を主導的に推進したとまでは言えない」と述べ、遺族の訴えを退けました。判決について、原告団の団長の川端光善さんは「沖縄戦を知らないとしか言いようのない判決で失望した」と話しました。弁護団長の池宮城紀夫弁護士は「沖縄戦の本質から目をそむけた判決できわめて不当だ」として控訴を検討する考えを示しました。