壁打ちが無理ならジョギングで


2006年4月5日 / prev

【脳研究 – headlines】

(1) Vigilance, alertness, or sustained attention: physiological basis and measurement (Oken, Salinsky & Elsas, Clin. Neurophysiol., 2006)

Attentionについて論じる時にvigilanceとかalertnessとかいう視点を伴うのは昔の話ってわけでもないんですが、近年は放置されがちな話題でもあったわけです。これはreview paperなんですが、そういった古いようでなかなか今でも新しいこれらの問題について論じたものみたいですね。隠れた傑作の予感がするのでそのうち精読をば。

(2) Exploring the temporal dynamics of the spatial working memory n-back task using steady state visual evoked potentials (SSVEP) (Ellis, Silberstein & Nathan, NeuroImage, 2006)

SSVEPなんていう渋い語に引かれて覗いてみました。でもmethodologyの研究ですよ、みたいな雰囲気が漂っていてやや中途半端な気も。野心的という点ではいいんですがね。

【研究生活】

だいぶラボの生活リズムがわかってきたので、それなりに時間的に余裕を持って出勤。さっそく昨日からうまくいかないことだらけの解析用PCの再々々セットアップに取り掛かってみたら、結構簡単なことに気がついたのでした。

「マザーボードをPen4上位CPUにグレードアップする目的で換装してあった」「そのせいでIntel(R) PRO/100 VE Network Connectionドライバが入ってない」「WinXP入れたのにSP1すら入ってない」

いくらLinuxとMacユーザの多いラボだからってそれがわかんないなんてありえんだろと。とまぁ、ゴネてもしょうがないのでとりあえず当該マザーボード対応のドライバ群をあさり、USB2.0のドライバはWindows UpdateにしかないのでもはやSP2に全部置き換わる寸前のSP1を入手してきてインストールし、ようやく全部の環境が整ったのでした。ちなみにSP2にするとEEGの解析ソフトがハングるらしいので、ラボ的にはNGとのこと。

そんなわけで着任前に買ってもらったBrainVoyagerQX ver. 1.6.3を回してGranger Causality Mappingで一渡り遊んだり、先任の同僚とnegative BOLDの話題で議論したり、うだうだしながら時間をつぶしていたのでした。・・・そしたら、仕事するようになってデスクワークが多くなったせいか、全然カロリー消費をしていないことに気がついて、外を見たら雨はやんだけれどももう真っ暗。しゃーない、壁打ちしたかったけどと思いながらおもむろにスポーツする格好に着替えて、そのまま研究所のキャンパス内をジョギングで2周。途中坂になってるところはダッシュしたりしたら、結構いい運動になったのでした。これからもジョギングやろうっと。 :razz:

【ニュース】

北大教授のセクハラ、自主退職で処分できず – 読売

この件についてはstochinaiさんのところの本日のエントリでもご自身が大学教員であるという立場から論評されています。コメント欄でも非常に興味深い議論がなされているので、僕なんぞが論じるよりむしろそちらをご覧になった方がいいかもしれません。

・・・まぁ、第一義的にはやはり「処分逃れ」ということなんでしょうね。読売の記事も批判していますが、独法化に伴って色々と法律やら規則やらが変わった結果こういう抜け道ができてしまったという側面もあるわけで、大学内部の事情以前に同様の問題が起きたらこの手法で逃げられるという前例にはなりますよね。ただ、stochinaiさんのところでのコメントのやり取りにもある通り、大学内部に様々なリークがあったのだろうということは確かにうかがわれます。見えざる勢力同士のせめぎあいみたいなものが感じられて、ちょっときな臭い印象がなくもないです。

といっても、同業者から見ればS先生がセクハラ(の濡れ衣だという話になる可能性もあるみたいですが)の容疑で放逐されたことには変わらないわけで、やっぱり前頭葉機能が低下すると不倫やセクハラも止められないんですねなーんて毒舌を吐いてみたくもなりますね。 :cool:

一応説明しておくと、前頭葉機能というのは脳損傷患者例からみて「抑制」に強く関わっているということが明らかになっています。Go/NoGo taskとか、WCST (Wisconsin Card Sorting Test)なんかが有名ですが、前頭葉を損傷すると一度開始した行動に対する粘着性が顕著になるそうです。Phineas Gageの有名な症例にみられたように、本能的な攻撃性の抑制にも関与しているようですね。なお、S先生が言っていたように「他者の視線を気にする」ことにもとりあえず関与するとは思うんですが、それなら側頭葉上部・後部も含まれる(ちなみにこの部位は抑制にはあまり強く関与してないはず)んじゃないかとか思ったり。詳しい方に聞いてみたいものですが、いかがでしょう?

【MLB】

NYY 3-4 OAK:松井秀が後ろにそらしてサヨナラ負け / SEA 10-8 LAA:城島が2戦連続HRで乱打戦を制する

松井秀の外野の守備はうまくない。田口を見ていればそう思うんだけど、こうやって取れてもおかしくない深い当たりをモロにバンザイして後ろにそらされるとねぇ・・・我が家ではリプレー見ながらみんなでボロクソにけなしてましたw ムッシーナも序盤は良かったのに、途中から全くナックルカーブが決まらなくなってボコボコ。いかんですね。ってか普通のカーブか縦スライダーでも投げろよ、みたいな。比べてみるに、ハーデンの縦スライダーみたいなカーブは良かったんだから。

一方、城島は2戦連続となるソロHRで勝利に貢献。ま、これは今までの日本人メジャーリーガーと同じようにビギナーズラックかな? :ygrin:  松井秀だって、松井稼だって、それこそ野茂だって最初のうちは良かった。遅くとも2年目から、早いとデビューシーズンの夏ごろから相手に研究され始めてダメになるというのが通例。それでも悪くならなかったのはイチローぐらいだろう。まぁまぁ、稼げるうちに稼いどけってところですかね。

コメント / トラックバック2件

  1. pooneil より:

    >> Vigilance, alertness, or sustained attention
    これ重要そうですね。Focal attentionを見るtaskをやっていて、sustained attentionが逆向きに効いてくる状況ってあるなと思うことがあるんで(posner paradigmでvalid conditionでfocal attentionが効くかもしれないけど、invalidなときはalertnessてきなattentionが効かないだろうか、とか)、興味があります。

  2. viking より:

    Posner paradigmとは、話題もこれまたfocalですね。:ygrin:
    僕の経験から言うとvalid / invalid conditionでのfocal / sustainedというのもさることながら、neutral conditionでのsustained attentionの問題というのがかなり大きいと思っています(Posner paradigmへの懐疑派の主張としては)。
    正しく教示できていればRTはvalid < neutral < invalidとなるはずなのですが、中にはneutral < valid < invalidとなる被験者さんも。こういう人にいったいどういうことかと問いただしてみたら、「neutralの時は特にattentionを向けないので、いつtargetが現れてもいいように待ち構えてました」なんてコメントが返ってきたりするんですよね。まさしくfocal attentionは抑制されているのに、sustained attentionが促進されたせいで条件統制が崩れてしまうという恒例だと思います。

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