絶滅危惧種の花を持ち込んだ大統領府、批判の的に
政府関係者「全部枯れた」
大統領府「水資源公社に返還した」
南漢江沿いの各所では4大河川(漢江・洛東江・錦江・栄山江)事業の工事が行われているが、その周辺の一部に自生する2級絶滅危惧種の丹陽ヨメナが、大統領府の事務所などで鉢植えされていたことが分かった。丹陽ヨメナは環境論者によって、4大河川事業による生態系破壊の代表的なケースとして常に取り上げられており、大統領府は今年7月にも丹陽ヨメナ問題で厳しい批判にさらされたことがある。
複数の政府関係者によると、大統領府は今年5月に韓国水資源公社から10株以上の丹陽ヨメナを譲り受け、首席秘書官室などに配ったという。また、大統領府の関係者はこれらについて、実際に事務所などで育てていたとのことだ。野生動植物管理法では絶滅危惧種を外部に持ち出すことは禁じられているため、大統領府はこの法律に違反したことになる。
これらの証言は、一部で事実だということが確認されている。大統領府は本紙の取材に対し、▲当時の広報首席室のある担当者が、南漢江の康川堰工事現場で勤務している水資源公社の関係者から、鉢植えの丹陽ヨメナ10株を受け取った▲これは当時、広報・国政企画・政務首席や、環境・地域発展・国土海洋秘書官など、4大河川事業に関連する担当者らに手渡された-などの事実を認めた。
- 絶滅危惧種の丹陽ヨメナ
大統領府が丹陽ヨメナで厳しい非難を受けるのは今回が初めてではない。国土海洋部の4大河川再生推進本部は今年の5月初めごろ、京畿道麗州郡の黄鶴山樹木園から、人工的に育てられた5株の丹陽ヨメナを受け取り、そのうちの2株を大統領府に送った。このため大統領府の朴宰完(パク・ジェワン)国政企画首席(当時、現在は雇用労働部長官)らが、環境団体などから刑事告発された。
また、今回手渡されたとされる10株の丹陽ヨメナに関しては、人工的に育てられたものではなく、自生していたものとの指摘もある。ある政府関係者は、「水資源公社から送られてきた10株の丹陽ヨメナは、4大河川事業の工事現場である南漢江沿いに自生していた野生のもので、大統領府首席などの事務所に送られてから数日で枯れてしまった」と主張する。
これに対して大統領府側は、「野生ではなく、人工的に育てられた丹陽ヨメナを(首席室などに)配ったが、2-3日後に回収して水資源公社に返した」と説明している。水資源公社の関係者も、「黄鶴山樹木園で人工的に育てられた丹陽ヨメナを鉢植えし、大統領府に送った」と説明している。
関連法規によると、人工的に育てられた絶滅危惧種を外部に持ち出したり、受け取ったりした場合、文書や写真などでその事実を記録した上で、環境部長官による事前の承認を受けるよう定められている。しかし黄鶴山樹木園側は、「定められた手続きは行われなかった」と主張する。大統領府に送られた丹陽ヨメナが自生していたものかどうかを証明する資料は、今のところ存在していない。
朴恩鎬(ヤク・ウンホ)記者