東京都青梅市で09年、会社員、寺田隆夫さん(当時53歳)が死亡した事件で、交際していた無職、木嶋佳苗被告(35)=埼玉県の事件で殺人罪などで起訴=が死亡現場にあった七輪をインターネットで購入、配達時に受取人のサインをしていた疑いが強まった。警視庁捜査1課は25日、木嶋被告について殺人容疑で逮捕状を取った。週内にも埼玉県から身柄を移送し再逮捕する方針を固めた。
捜査関係者によると、木嶋被告は09年1月30日夜~31日、青梅市東青梅4の寺田さん方で練炭を燃やし、寺田さんを一酸化炭素中毒で死亡させた疑いが持たれている。
寺田さんは同2月4日、布団の上であおむけで死亡しているのが見つかった。室内には練炭を入れた七輪が6個あり、玄関や窓は施錠されていた。木嶋被告が「自殺したのではないか」と話したこともあり、青梅署は自殺と判断して遺体の司法解剖は行わなかった。
だがその後、木嶋被告の周辺で不審死が相次いでいることが発覚。警視庁が木嶋被告のパソコンの通信記録を調べたところ、寺田さんが死亡する直前に七輪6個をインターネットを通じて購入していたことが判明。現場にあった七輪と一致した。また、七輪の配達記録に残っていた受取人のサインが木嶋被告の筆跡と酷似していたことも突き止めた。
寺田さんの遺書もなく、自殺する理由も明確にならなかった。このため捜査1課は、木嶋被告が埼玉県の事件と同じように練炭自殺を装って殺害を図ったと結論付けた。【山本太一、内橋寿明、小泉大士】
毎日新聞 2010年10月25日 15時02分