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【ゴルフ】

さくら ホールインワンV 逆転賞金女王へ奇跡再び

2010年10月25日 紙面から

◇マスターズGCレディース<最終日>

▽24日、兵庫県・マスターズGC(6502ヤード、パー72)▽曇り、気温21・1度、風速4メートル▽賞金総額1億2300万円、優勝2214万円▽52選手▽観衆7920人

 前日首位タイに浮上した横峯さくら(24)=エプソン=が快挙で今季2勝目を飾った。7番パー3で、プロ人生で初めてのホールインワンを決めるなどし、68で回り通算10アンダーで、馬場ゆかり(27)を1打差で振り切った。5月のフンドーキンレディース以来の今季2勝目、ツアー通算17勝目を挙げ、逆転賞金女王へ望みをつないだ。

 奇跡をたぐり寄せる1打だった。7番、195ヤードのパー3。「5番ウッドか迷ったけど奥より手前の方がいいかなと思って9番ウッド。すごくいい感触のショットでした」とさくら。軽いフェードの弾道を描いたボールは、カップの手前7、8メートルに着地。何かに導かれるかのようにグリーン上を進み、消えた。

 プロ7年目にして初の試合でのホールインワン。「あ〜寄ってくれてるな、と思ってティーペグを拾ってたらキャディーのジョンが『ハイッタ!』って」。グリーン周りは空気が躍るほどの大歓声に包まれた。だが、不思議なほどにさくらは穏やかだった。「喜びましたよ。今日は自分の日になるのかなというのも多少は思った。でも、まだ7番。はしゃぎすぎて緊張感を切らしちゃいけない、絶対に気は抜かないって自分に言い聞かせた」と振り返った。

 後半、馬場が追い上げて終盤は1打差の攻防に。「メチャクチャ緊張しました。でも、それをプラスにするかマイナスにするかは自分次第。自分を信じてプレーしました」。最終ホールのパーパットを沈めると、ゆっくり手を挙げてギャラリーの祝福に応えた。

 「勝ちたかった。“自分のプレーをしてダメだったらしょうがない”といつもは思ってるけど今回はそうじゃなかった。いい意味での欲が出たのかなと思った」。勝利から遠ざかった5カ月間を回想し、昨年賞金女王に輝いたがゆえのプレッシャーもあったと明かした。「まあピークはもう通り越しましたね。一番辛かったのは先々週くらいかな」とさくら。母・絹子さんは「アン選手が2週連続優勝を決めた時には、さすがに落ち込んでいるのが分かりましたね」と語った。

 あきらめかけていた2年連続女王へ、再び小さな灯がともった。その差3281万円余。「あと5試合。まだ、全然、争いになってないと思うし自分にプレッシャーはかけたくないけど…心の中に持っておきます。ま、頑張ります」。さくららしいふんわりと聞こえた言葉。が、昨年同様、最終戦最終日の最後の1打まで絶対にあきらめないという決意が、その背中ににじんでいた。

  (月橋文美)

 

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