「WBC世界Sバンタム級タイトルマッチ」(24日、両国国技館)
王者・西岡利晃(34)=帝拳=が、挑戦者レンドール・ムンロー(30)=英国=を3‐0の大差判定で下し、5度目の防衛に成功した。1回から右ジャブ、左ストレートなど的確なパンチを挑戦者に浴びせ、ポイントを奪取。初防衛戦からの5連続KOは逃したが、3ジャッジそれぞれ10ポイント差をつける圧勝で、同級1位の最強挑戦者を退けた。V6戦は来春に予定され、WBO、WBC世界バンタム級王者フェルナンド・モンティエル(メキシコ)が最有力となる。
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最後までKO勝利にこだわった。圧倒的にポイントをリードして迎えた最終12回、西岡は攻めに出た。リング中央、ムンローにこん身の左フックをたたき込んでぐらつかせると、ロープに詰めて連打。鬼の形相でワンツーからのコンビネーションを繰り返して倒しにかかった。
濃厚な36分間だった。サウスポーに対して右に回りながら右ジャブを突いた。ガードが空いたところに左フックをたたき込み、左右ボディーを上下に打ち分けた。相手がひるめばすかさず連打。「完ぺきなボクシング。ファイター相手に今までで最高の試合でした」。初防衛戦からの連続KOは「4」でストップしたが、思わず自画自賛した。
世界1位との指名試合。欧州最優秀選手賞を2度獲得した強豪で、ここ10年間、対戦していないサウスポーとの対戦に周囲から不安の声がもれてきた。「勝利を確信している」と言い続けてきた西岡は試合後、「思い描いていたボクシングができた。ムンローはガードが堅いというよりもタフだった」と笑顔で振り返った。
ボクシングに集中するため、08年から家族と別居し単身東京で暮らしている。美帆夫人(29)とともに兵庫・尼崎市で暮らす愛娘・小姫ちゃん(4)が今年、地元の幼稚園に入園。今月上旬には初めての運動会があったが、参加したい気持ちをグッとこらえ、一人東京にいた。この日、リング上で小姫ちゃんが口にした「パパは誰にも負けない」の祝福の言葉が何よりもうれしかった。
年内は休養に充て、V6戦は来年の2月か3月に予定している。最有力候補としてWBO、WBCバンタム級王者で、世界3階級を制したモンティエルが挙がっている。帝拳ジムの本田明彦会長は「将来的に可能性はある」と語り、西岡は「(モンティエル戦は)望むところです」と迎え撃つ覚悟を見せた。