ホーム > スポーツ > スポーツ最新紙面記事

野口、苦難越え2年5カ月ぶり涙の復帰走

 2年5カ月ぶりの実戦復帰を果たした野口=福岡県宗像市
 2年5カ月ぶりの実戦復帰を果たした野口=福岡県宗像市

 「実業団女子駅伝西日本大会」(24日、福岡県宗像市)

 アテネ五輪女子マラソン金メダリストで、2連覇を狙った北京五輪を左足付け根の故障で欠場した野口みずき(32)=シスメックス=が08年5月の仙台ハーフ以来、2年5カ月ぶりの実戦復帰を果たした。3位でタスキを受けると、各チームのエースが集った3区(10・5キロ)を34分15秒の区間5位で走り、3位をキープ。チームも3位に入り、全日本実業団女子駅伝(12月・岐阜)出場を決めた。苦難を乗り越えた元女王が、12年ロンドン五輪への第一歩を刻んだ。

  ◇  ◇

 2年5カ月‐止まっていた時間が動きだした。タスキを受けた野口は、大粒の雨を切り裂き独特のストライド走法で一気に駆け出した。最初の1キロは想定より5秒も速い3分5秒。「落ち着こうと思ったけど、やっぱり行っちゃいました」。一時は2位に並んだが、まだ本格的な練習再開から1カ月もたっておらず最後は失速。ただ、何よりも走り切れたことがうれしかった。「戻ってきたんだなぁ…」。レース後、仲間に囲まれると、思わず涙がこぼれた。

 北京五輪欠場後、練習を再開しては故障の再発という悪循環を繰り返した。昨年は1年間レースに出られず「正直、引退が一瞬よぎりました」。 今後はハーフマラソンでの復帰も見据えながら、まずは全日本実業団駅伝を目標に調整する。本格的なマラソン復帰は来年以降になりそうだが「ロンドンへの気持ちは切れてない。足が壊れるまで走り続けますよ」と、ちゃめっ気タップリに笑った。力強く踏みしめた復活への第一歩。苦難を乗り越え、野口が再び五輪ロードを駆け抜ける。

(2010年10月24日)





Copyright(C) 2010 デイリースポーツ/神戸新聞社 All Rights Reserved.
ホームページに掲載の記事、写真などの無断転載、加工しての使用などは一切禁止します。ご注意下さい。
当サイトは「Microsoft Internet Explorer 4.x」「Netscape Navigator/Communicator 6.x」以上を推奨しています
Email : dsmaster@daily.co.jp