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民主:執行部「組対費」解明棚上げ 36億円使途不明

 小沢一郎氏が民主党代表に就任した06年から幹事長だった今年5月まで、党財務委員長あてに計約36億円も支出されながら使途不明だった「組織対策費」(組対費)。菅直人政権誕生に伴い6月発足した党執行部は内部調査を進めていたが、9月の代表選で執行部が大幅に刷新され、新幹事長の岡田克也氏は過去の支出を問題視しない姿勢を明確にした。「起訴議決」に至った小沢氏の、もう一つの「政治とカネ」の解明は棚上げされている。【坂本高志、杉本修作、前谷宏】

 「私が話したら党がぶっ壊れるぞ。墓場まで持っていく話なのに、それでいいのか」

 8月上旬、組対費の調査を進めていた小宮山洋子財務委員長(当時、現副厚生労働相)は電話で激しい言葉を浴びせられた。相手は前任の財務委員長、佐藤泰介前参院議員。小宮山氏は6月に財務委員長になり、それ以前の支出実態について外部の専門家に調査を依頼していた。電話の直前の8月2日、毎日新聞に掲載されたインタビューで「過去の支出は前任者に聞いてほしい。私になってからはそういう(不透明な)お金の出し方はしていない」と語っていた。

 党本部から財務委員長あてに巨額の組対費が支出されるようになったのは06年4月に小沢氏が代表に就任し、同9月に無投票で再選されて以降。今年5月まで、当時財務委員長だった山岡賢次副代表と後任の佐藤氏に計約36億円が支出された。この間、小沢グループは30人から150人に拡大。菅氏は「党のカネで派閥を作るのは許せない」と漏らしていた。山岡氏は「党のことなので答える立場にない」と取材に答え、佐藤氏はこれまで取材に応じていない。

 内部調査では(1)山岡氏が財務委員長だった06年末、通常の「財務委員長口座」とは別に「財務委員長口(ぐち)口座」が開設され、党経理部長の決裁を経ない資金移動が繰り返された(2)計約36億円の支出には主に公金である立法事務費が充てられた--ことなどが判明。外部の専門家は「一種の裏金づくり」と厳しく指摘したとされるが、内部調査結果は今も公表されていない。

 岡田氏は10月19日の常任幹事会で、特定幹部に向けた組織対策費名目での巨額支出の廃止を明言。資金の出し入れは記録が残る振り込み方式に変更し、300万円以上の支出は幹事長代理、500万円以上は幹事長が決裁することを決めた。だが、9月22日の記者会見では「過去の執行部が行った手続きについてさかのぼって問題にするのは行き過ぎではないか」と発言。新たに就任した長浜博行財務委員長も「党としてどうするかは幹事長が決める」とし、小沢代表・幹事長時代の不透明な党資金の流れは解明されそうにない。

 菅氏に近い衆院議員はこう懸念する。「小沢氏への配慮が行き過ぎると、『クリーンでオープンな政治』も看板倒れに終わりかねない」

毎日新聞 2010年10月25日 21時35分

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