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医療費2025年度52兆円 2010年度比1.4倍

(2010年10月23日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

2006年時点の厚労省推計下回る 

 厚生労働省が将来の国民医療費を推計したところ、2010年度の37兆5千億円が25年度には1.4倍に膨らみ、14兆8千億円増の52兆3千億円に達することが分かった。

 医療機関への報酬改定などの影響を除くと医療費は例年3%台で伸びているが、今後は高齢化による増加が鈍り、25年度までの伸び率は年2.2%にとどまるとしている。推計には13年度に導入予定の新たな高齢者医療制度の影響を織り込んでおり、25日の高齢者医療制度改革会議に示す。

 厚労省は06年時点では、25年度の国民医療費を56兆円と推計していたが「医療費を抑えたい政府が過大に試算している」との指摘が続出した。

 前回の推計を下回る結果となったことで、政府、与党が進めている税制と社会保障の一体改革の議論にも影響を与えそうだ。

 国民医療費は病気やけがの治療で医療機関に支払われる1年間の総医療費。15年度では10年度比約5兆円増の42兆3千億円、20年度では47兆2千億円と推計した。医療費の伸びが鈍化するのは、02年度に長期投薬の規制が緩和され、受診回数が減っていることなどが要因とみられる。

 このうち75歳以上の医療費は、後期高齢者医療制度を廃止して新制度を導入する予定の13年度では、10年度比2兆円増の14兆8千億円。25年度には10年度の倍近い24兆1千億円と見込んでいる。

 患者の窓口負担を除き、保険料や税金で賄う「医療給付費」は、全年齢で10年度の31兆9千億円が25年度に45兆円となる見通し。