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医療事故発生2009年度は481件 三重・名張市立病院が公表 

(2010年10月22日) 【中日新聞】【朝刊】【三重】 この記事を印刷する

『重大』なし、前年比4件減

 三重県の名張市立病院は、病院医療事故防止マニュアルの公表基準に基づいて2009年度の医療事故を公表した。患者が死亡するなどの重大な事故はなかった。

 昨年度の医療事故の発生件数は、総数で前年より4件少ない481件。このうち、医療事故に至るまでの「ヒヤリハット」としている患者への影響レベルが「ゼロ」または「1」が451件を占めた。

 一方、医療事故として扱うレベル「2」から「5」のうち、高度障害が残るなどの「4」レベルと、死亡する「5」レベルはなかったが、検査の必要性が生じたとする「2」レベルは17件、事故により必要ではなかった治療や処置が発生して入院日数が増えたり軽度・中度の障害が残るとする「3」レベルは昨年より3件多い5件あった。

 「3」レベルでは、40代の男性がアキレスけん断裂の手術後、リハビリで理学療法士が強い治療を施したため、再びアキレスけんを断裂してしまった例や80代の女性がエックス線撮影の際に骨折させてしまった例、また季節性インフルエンザの予防接種で姉(5つ)への注射後に、新しい薬液と勘違いして妹(3つ)に同じ薬液を注射しようとして針を刺してしまった−などがある。

 同病院は「医療事故を公表することで安全管理意識を高めることにつながる。原因についても調査し、2度と繰り返さないようにしたい」と話している。市立病院のホームページでも公表している。(川合正夫)