2010年8月27日 13時46分 更新:8月27日 14時52分
「長く苦しかったけれど、新しいスタートの日だと思っている」
宮崎県川南町の養豚農家、柳川勝志さん(39)は穏やかな気持ちで口蹄疫の終息宣言の日を迎えた。
約1000頭を飼育する農場で、足に血をにじませた豚を見つけたのは5月5日の朝。4月20日の発生後、普段にも増して消毒に気を使っていたところだった。5月6日に遺伝子検査で感染疑いを確認。症状は瞬く間に広がり、子豚がバタバタと死んでいった。殺処分を済ませたのは14日夕。ウイルスの猛威に震えたが、落ち込んでいる暇はなかった。他の農家に出向いて殺処分を手伝った。
大阪府門真市出身。メッキ加工の町工場の次男で工場長を任されていたが、景気低迷や兄が後継ぎだとの思いから07年、妻ひとみさん(33)の反対を押し切り、ひとみさんの実家がある川南町に移住。義父が経営する養豚業の世界に入った。
分娩(ぶんべん)率や離乳までの日数など生産工程をデータで管理できる養豚のおもしろさにはまった。いかにおいしい肉を作るか、経験を積み重ねる中で見舞われた口蹄疫禍だった。
失うものは大きかったが、病気のない新しい養豚経営を目指し仲間と話し合う機会が生まれた。「何も知らないよそ者だったが、家族と仲間の支えがあったからやってこられた」と柳川さん。「この町で生きていきたい」と顔をほころばせた。【石田宗久】