2010年8月26日 20時44分 更新:8月26日 21時58分
円高、原油安を背景にガソリン価格の下落が続いている。石油情報センターが毎週発表しているレギュラーガソリンの全国平均小売価格(23日現在)は、1リットル当たり前週(16日)比10銭安の133円60銭と、13週連続で下落。金融危機による世界経済の減速で22週連続で値下がりした08年8月~09年1月以来の長期下落だ。車離れやエコカーの浸透で過剰感のある給油所間の競争も激しく、「店頭価格の値下げは続く見込み」(石油情報センター)という。
ニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場は24日まで、指標となる米国産標準油種(WTI)が5営業日連続で下落。1バレル=71.63ドルと、約2カ月半ぶりの安値水準に落ち込んだ。
下落の背景には、米国景気が減速し、エネルギー消費が低迷するのではないかとの見方が持ち上がっていることがある。投資先として高リスク資産を避ける動きも目立ち、「株とともに売りが強まっている」(アナリスト)という。
国内の石油元売り大手は、業者間取引価格や、石油商品の先物価格を参考に卸価格を決める。原油価格の下落に加え、円高の影響で輸入原油価格はさらに下落傾向が強まっており、「価格が今後、上昇に転じる材料は乏しい」(石油元売り大手)のが現状だ。
給油所間で続く激しい競争もガソリン価格下落に拍車をかけている。首都圏の販売激戦区、国道16号沿いのレギュラーガソリン価格は、相模原市内で1リットル=114~123円前後、埼玉県川越市周辺で同121~125円前後と、全国平均より10円程度安い状況が続く。節約志向の消費者が一円でも安い給油所を求める傾向が続いており、「売る方も価格に敏感にならないと生き残れない」(相模原市内の給油所)という。
人口減少や低燃費車の普及でガソリン需要は年々縮小。00年度末に約5万3700カ所あったガソリンスタンドは、08年度末には約4万2000カ所に減少しており、今後も再編が続く見通し。元売り各社も石油精製能力を削減する計画を掲げており、ガソリンスタンド間の生き残り競争もさらに激化すると見られている。【米川直己】