なお収集している情報は主に食品中化学物質に関するもので、食の安全にとって最も問題である微生物関連情報は扱っておりません。
参考食品安全情報ナビbyましゅうさん
2010-09-27
■[ProMED]中毒、キノコ ロシア
Poisoning, mushrooms - Russia (SP)
26-SEP-2010
ロシア消費者の権利保護と福祉機関が今年のキノコ中毒流行期に約3人の死亡についての情報を出した。流行期は8月末から始まっている。これまで21例の致死的ではない中毒症例がある。
■[ProMED]炭疽、ヒト 英国(第23報):イングランド、スコットランド 報告
Anthrax, human - UK (23): (England, Scotland), report
24 Sep 2010
EHTFニュースより
英国の調査員は炭疽のアウトブレイクに困惑
現在の炭疽アウトブレイクは、炭疽が薬物使用者の間で定着したかもしれない懸念を示す
炭疽汚染ヘロインにより過去9ヶ月で英国で16人が死亡した。いまだに患者が発生している(最新は2010年8月末イングランド)ことから感染が薬物使用者の中で持続している可能性がちらつく。
■[ DEFRA]旬のものを食べよう
It’s time to Eat Seasonably
Friday 24 September 2010
http://ww2.defra.gov.uk/2010/09/24/eat-seasonably/
Defraの支援により旬の野菜や果物を食べようキャンペーンを行う
Eat Seasonably
例えば今月のおすすめはズッキーニとブラックベリーとサヤマメ
■DJ's Sushiが不正を犯した企業のリストに
NSW食品局
Food safety is never out of fashion: DJ's Sushi Named and Shamed
26 September 2010
http://www.foodauthority.nsw.gov.au/aboutus/media-releases/mr-26-Sep-10-dj-sushi-named-and-shamed/
David Jones’の有名なフードホールの寿司バーが主に温度管理に関する食品安全基準違反で不正を犯した企業のリストに載せられた。
展示されているサーモンとエビの寿司が要求されている5℃以内ではなく11.8-24.5℃の温度帯にあった。
■[FAO]食糧価格の不安定さが主な食糧安全保障上の脅威である
Food price volatility a major threat to food security
24 September 2010, Rome
http://www.fao.org/news/story/en/item/45690/icode/
しかし世界的食糧危機の兆候はない
Inter-Governmental Groups (IGGs) on Grains and on Riceの最終報告書。
■[EFSA]乳糖不耐とガラクトース血症の乳糖閾値についての科学的意見
Scientific Opinion on lactose thresholds in lactose intolerance and galactosaemia
24 September 2010
http://www.efsa.europa.eu/en/scdocs/scdoc/1777.htm
乳糖はほ乳類の乳の主要糖類で、グルコースとガラクトースからなる二糖である。乳糖は食べると腸細胞の微絨毛膜にあるラクターゼにより加水分解されてグルコースとガラクトースになり、吸収される。ラクターゼ活性がないまたは少ないと、消化されない乳糖が乳糖不耐の症状を誘発する可能性がある。
ガラクトース代謝に先天的欠損のあるガラクトース血症の患者もまた乳糖に「不耐」であるが、症状は乳糖不耐の場合より重症で大きく異なる。
ラクターゼ欠損と乳糖不耐
主なラクターゼ欠損はラクターゼ不持続(LNP)とも呼ばれ遺伝的なもので、多くの民族で離乳後まもなくラクターゼ活性が低下する正常な発達現象である。LNPの頻度や出現年齢は民族により大きく異なる。
LNPの成人では、食べた乳糖は大腸に到達し、そこで腸内細菌により乳酸、酢酸、水素、二酸化炭素に分解される。乳糖の消化不良は腹痛や腹部膨満、下痢などの乳糖不耐の症状を誘発することがある。しかしながら乳糖の消化不良が全てのLNPのヒトに乳糖不耐の症状を誘発するわけではない。
乳糖の消化を測定する最もよく使われる検査は息の水素検査と乳糖耐性試験である。ラクターゼ遺伝子の多型解析も有用な情報になりうる。LNPの確定診断は小腸生検のラクターゼ活性による。しかしながら乳糖不耐の診断は自己申告の症状により、必ずしも客観的に評価できないため、難しい。
乳糖不耐の治療法は乳糖含量の少ない食事をすることである。
最近の系統的レビューによれば、乳糖不耐または乳糖消化不良と診断された多くの人達は一回の投与量(特に食事と一緒の場合)では12gの乳糖にほぼ症状がないまたは極弱い症状で耐えられる。1回24gだと症状が出る。1日何回かの場合は多くの乳糖不耐患者は20-24gの乳糖に耐えられる。1日50gの乳糖を食べるとほとんどの患者に症状が出る。少数の患者で12g以下の乳糖で自己申告症状が出るという研究がある。結果の解釈の際には乳糖の投与方法やマスキングについて考慮する必要がある。
北ヨーロッパでは一般的に乳糖不耐の子どもは極めて少なく成人初期でも少ないままである。子どもの乳糖不耐閾値については十分なデータがないが成人同様の閾値があるようだ。
個人差が大きいため全ての乳糖不耐患者向けの単一の閾値を設定することはできない。一部のヒトは6g以下で症状が出ると報告されているが多くのヒトにとっては12gまでは耐えられる。1日何度かに分けるならもっとたくさんでも耐えられる。
ガラクトース血症
ガラクトース血症はガラクトースの代謝に関わる3津の酵素の遺伝的欠損により誘発される。重症のガラクトース血症を治療しないでおくと肝機能や腎機能に致死的傷害が生じる。食事からガラクトースを排除することで治療する。食事管理をしても成長や発育の遅れ、女性患者の卵巣機能不全などがみられる。ガラクトース血症は多くの国で新生児スクリーニングが行われている。基本的管理は母乳を含む全てのガラクトース源を可能な限り排除することである。乳糖フリーミルクは100 kcalあたり10mg以下の乳糖を含む。大きくなってからも25mg/100kcal以下の乳糖摂取量に留めるよう管理する。
食品中乳糖削減技術
製品の乳糖を除去する技術についての情報は限られている。カルシウム吸収に果たす乳糖の役割については結論は出せない。乳糖加水分解乳製品の摂取による栄養への悪影響はないと予想される。サプリメントやその他の対応なしに通常の乳製品を避けることはカルシウム、ビタミンD、リボフラビンの摂取量不足につながるかもしれない。
■[FSA]ミラクルミネラル溶液の摂取に対する警告
Warning against consumption of Miracle Mineral Solution
Friday 24 September 2010
http://www.food.gov.uk/news/newsarchive/2010/sep/mms
FSAはMiracle Mineral Solution (MMS)を使用しないよう緊急に警告する。この製品は経口用サプリメントとして販売されておりミラクルミネラルサプリメントとも呼ばれる。もし所有している場合は捨てるように。もし口に入れてしまって不快症状が出たら医師に相談すること。
MMSは工業用漂白剤と同程度の強度の28%亜塩素酸ナトリウム溶液である。使用法通りに使うと激しい吐き気や嘔吐、下痢、脱水、低血圧の症状が出る可能性がある。指示されているより濃い濃度では消化管や赤血球に傷害を与え、呼吸困難になる可能性がある。
MMSはインターネットで販売されている。FSAは地方当局にこの製品は販売されてはならないと警告している。もしMMSが小売店などで販売されていたら地方当局に連絡するように。
米国FDAやヘルスカナダも同様の対応をしている。
(日本でも売ってるみたい。一部マルチの商材にもなっているようだ)
■[FSA]残留動物用医薬品委員会年次報告書発表
Veterinary Residues Committee annual report published
Friday 24 September 2010
http://www.food.gov.uk/news/newsarchive/2010/sep/vrcannualreport
プレスリリース
PUBLICATION OF 2009 ANNUAL REPORT OF THE INDEPENDENT VETERINARY RESIDUES COMMITTEE
http://www.vmd.gov.uk/vrc/newsreleases/VRC_AR_2009.pdf
2009年は国産については34000検体以上を検査し北アイルランドのウシ2頭のみが食用に認められていない製品陽性だった。この結果は多くの農家が動物用医薬品を責任をもって使っていることを示す。輸入品については13000検体以上を検査した。
懸念のあった結果は4点で、北アイルランドの別々の農場のウシ2頭からフェニルブタゾン、ベトナム産イトヨリダイからクロラムフェニコール、インド産ブラックタイガーエビ1検体からニトロフラン代謝物のフラゾリドン、である。
報告書本文
Annual Report on Surveillance for Veterinary Residues in Food in the UK 2009
http://www.vmd.gov.uk/vrc/Reports/vrcar2009.pdf
PDF 56ページ
■[FDA]消費者向け情報:Similacミルクのリコール
Abbott Recalls Some Similac Formulas
September 23, 2010
http://www.fda.gov/ForConsumers/ConsumerUpdates/ucm226941.htm
製品の写真や関連情報をまとめた
■[FDA]FDAは葉酸を含む複合避妊薬を認可
FDA approves combination contraceptive containing a folate
Sept. 24, 2010
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm227237.htm
FDAは葉酸(levomefolateカルシウム0.451 mg)を含むエストロゲン/プロゲスチン経口避妊薬Beyaz錠剤を認可した。levomefolateカルシウムは葉酸の代謝体である。Beyazを止めた後数週間の葉酸濃度が高いまま維持できるので胎児の神経管欠損予防に役立つ。
■[CFIA]Abbott Nutritionは品質基準を満たさない一部のSimilac®ブランドの粉ミルクを米国で任意に回収
Abbott Nutrition Voluntarily Recalls Certain Similac® Brand Powder Infant Formulas in the United States That Did Not Meet Its Quality Standards
September 24, 2010
http://www.inspection.gc.ca/english/corpaffr/newcom/2010/20100924e.shtml
CFIAは米国での粉ミルクへの虫の混入可能性についての米国当局の調査を注視している。
カナダで当該製品が販売されているという情報はない。もし必要があれば適切な措置を執る。
■[NZFSA]NZFSA Conference, 13-14 September 2010
http://www.nzfsa.govt.nz/events/conference2010/index.htm
NZFSAの会議で発表されたプレゼンテーションがアップされている。
ニュージーランドの話題と米国など海外の話題と。
食中毒関連が多いけれどおもしろい
■その他ニュース
コンシューマーラボ
Product Review: Fish Oil and Omega-3 Fatty Acid Supplements (EPA and DHA from Fish, Algae, and Krill)
9/24/10
https://www.consumerlab.com/reviews/fish_oil_supplements_review/omega3/
検査対象製品の約30%に問題があった
内容は表示されている量より含量が少ない、腸溶剤なのに溶けるのが早すぎる、PCBの基準値超過など。また規制はないので意味のない「医薬品グレード」という表示がある製品などがあった。
- 国際幹細胞研究学会が一般向け幹細胞治療サイトを作る
The International Society for Stem Cell Research (ISSCR)
Considering STEM CELL treatment?
http://www.closerlookatstemcells.org//AM/Template.cfm?Section=Home
(詐欺的治療から消費者を守るため)
- インドの科学指導者がGMナスを支持する
ScienceInsider
India's Scientific Leadership Endorses GM Eggplant
24 September 2010
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2010/09/indias-scientific-leadership-endorses.html?etoc
インドのトップ科学者からなる6つの組織が一致してBt brinjalと呼ばれるGMナスの栽培計画を支持する。この計画は今年初めに厳しい抵抗を受け、Jairam Ramesh環境大臣が無期限停止にしていた。Ramesh大臣はその後インドの科学組織に助言を求め、彼らはBtナスがヒトや環境に安全であることは示されていて特定の場所に栽培するのは適切であると発表した。報告書の著者はGM作物はインドの農業戦略の重要な一部であると述べている。インドの6つの科学アカデミーが同一の声明を発表したのはこれが初めてである。
- 乳児用ミルクに抗議したグリーンピースの6人が逮捕
Greenpeace six arrested in baby formula protest
September 27, 2010
シドニーのスーパーマーケットでS-26ミルクの前で抗議活動をした20-30才の女性を不法侵入で逮捕。グリーンピースはS-26ミルクからGM大豆とトウモロコシが微量検出されたと主張し、スーパーマーケットに販売中止を求めている。製造業者のWyeth Nutritionは2001年から乳児用ミルクには非GMしか使っていないと言っている。Wyeth Nutritionはグリーンピースに検査の結果を提供するよう求めている。
グリーンピースオーストラリアのサイトに抗議行動の写真が掲載されている
http://www.greenpeace.org/australia/issues/GE/taking-action
(営業妨害)
- 科学と社会:太平洋を隔てた格差
Natureニュース
Science and society: A Pacific divide
Published online 22 September 2010
Nature 467, 388-389 (2010) | doi:10.1038/467388a
http://www.nature.com/news/2010/100922/full/467388a.html
NatureとScientific Americanが世界18か国21000人のScientific American(とその翻訳版)の読者に対して科学リテラシーに関するオンライン調査を行った。時に大きな違いは東アジアとその他の国の間にあった。進化論による種の多様性説明について疑いの余地有りと答えたのが日本人35%中国人49%で、その他の国では10%前後である。さらに日本と中国は宇宙の始まりについても科学を信頼してない。また中国人の科学的素養のある人の1/3が科学者は政治に関与すべきではないと回答したが他の国ではほとんどが10%前後である。
キリスト教の創造論があまり入り込んでいない日本や中国で進化論に懐疑的なのは何故だろう?
(サンプルに偏りがあるにしても、日経サイエンスを読むような人が進化論もビッグバンも疑わしいと思っている?一般人対象のアンケートなら違うのかも。
こんなお知らせが