2010年10月25日13時10分
指定暴力団山口組系の組幹部らが風俗情報誌の出版社を設立し、愛知、静岡両県の風俗店数十店から2年間で、広告料として1億円近くを売り上げていた疑いがあることが、愛知県警への取材でわかった。県警は、広告料が事実上の「みかじめ料(用心棒代)」だったとみている。県警は県迷惑防止条例違反(迷惑ビラの配布)の疑いで組幹部らを逮捕するなど調べを進めている。
風俗店を紹介する情報誌やインターネットのサイト、街頭の無料案内所の一部は、広告料が暴力団の資金源になっていると指摘されてきたが、実態が明らかになるのは極めて異例だという。
捜査関係者によると、情報誌は愛知県豊橋市の出版社が発行していた月刊「遊(ゆう)navi」。2008年8月の創刊で、最新号は約5千部を発行。繁華街や商店街に置かれ、同市や同県豊川市、浜松市のデリバリーヘルスやキャバクラなど計約70店を約100ページで紹介していた。
同誌が下着姿の女性の写真を載せていたことを問題視した住民が、県警に「子どもの通学路にも置いてある」と相談。県警の捜査で、出版社社長が同組系3次団体の組幹部(39)で、他の役員2人も組員だったことがわかった。
「定価100円」――。同誌の裏表紙には、流通管理のために市販の雑誌が付けているのと同様のコード番号とバーコードがあった。県警が書籍取次会社に確認したところ、番号もバーコードもでたらめだったという。
県警は、こうした工作や、愛知、静岡両県の二十数カ所で無料配布されている実態を確認し、同条例で配布が禁じられた迷惑ビラに当たると判断。豊橋、田原両署は今年8月、豊橋市萱(かや)町の路上で約20冊を配ったとして、別の3次団体の組員(21)を同条例違反の疑いで現行犯逮捕。9月には、この組員に配布を指示したとして、社長を共犯容疑で逮捕した。