尖閣事件批判で存在感 復権うかがう安倍・元首相
産経新聞 10月25日(月)7時58分配信
自民党の安倍晋三元首相が夏の参院選後、精力的に動き始めた。尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件では中国批判の先頭に立ち、返す刀で菅政権を「弱腰外交」と切り捨てる。14〜20日は谷垣禎一総裁の特使としてワシントンを訪問、米政府要人との会談を次々に行い、存在感を示した。3年前の参院選で自民党を惨敗させた「十字架」を背負いながら保守勢力の核として復権を目指す思いが透けてみえる。(桑原雄尚)
安倍氏は訪米中、シンクタンク「ハドソン研究所」主催の講演で、米政府関係者を前に積極的に懐柔策を仕掛ける中国ロビイストに警戒するよう強調。この様子はワシントンのケーブルテレビで何度も取り上げられ、米政府への反響は大きかったという。
帰国後の21日には、自らが会長を務める保守系議連「創生日本」役員会で米要人との会談についてこう報告した。
≪対中関係にクギ≫
「『中国ともっとうまくやれ』と言う人もいたが、『そんなことではいけない』とクギを刺してきた」
故中川昭一元財務相の遺志を継いだ創生日本は若手・中堅を中心に70人以上が入会、自民党最大勢力になりつつある。活動も活発化しており、27日には都内で街頭演説を行い、中国漁船衝突事件をめぐる日中両政府の対応を糾弾する予定。年内を目標に教育や外交・安保などの基本政策を取りまとめる一方、地方組織の拡充も進める。
8月に行われた参院自民党議員会長選で、安倍氏は自らが所属する町村派から出馬した谷川秀善前参院幹事長を推さず、「世代交代」を掲げた伊吹派(当時)の中曽根弘文元外相を水面下で支援。森喜朗元首相との確執を生む結果となったが、存在感を示すことにもつながった。
先の衆院選で自民党保守系若手の多くが落選、ややリベラルの谷垣氏を中心とした執行部体制となったことは、自民党の支持が回復しない一因となっている。中川氏の急逝もあり、50歳代である安倍氏に保守派リーダーとして返り咲きを望む声は少なくない。
ただ、政界混迷の原因は、安倍氏が首相として臨んだ3年前の参院選惨敗にあることは間違いない。しかも安倍氏はその後体調を崩して退陣した。自民党には「安倍氏のせいで…」との恨み節はなお残り、安倍氏の言動に「あの人に言われても…」という拒絶反応はなお消えない。党内には安倍氏を含む首相経験者全員の政界引退を求める声さえもある。
≪ハードル高く…≫
それだけに安倍氏復権のハードルは高い。創生日本をいかに育て上げるかも大事だが、北朝鮮による拉致問題で見せたような政治手腕を振るうことができるか。そして政界再編を見据えながら明確な国家ビジョンを示すことができるか。首相経験者とはいえ、政治家としての正念場はこれからだといえる。
【関連記事】
中国、「ナチスと同列視は荒唐無稽」と安倍元首相を批判
中国空母「脅威の始まり」 米国防次官補
漁船衝突「中国の蛮行」 安倍元首相が批判
「竹島周辺で銃撃戦の可能性」 安倍氏が明かす韓国海洋調査事件
自民党、尖閣問題で政府批判続出 「谷垣発言」も波紋
安倍氏は訪米中、シンクタンク「ハドソン研究所」主催の講演で、米政府関係者を前に積極的に懐柔策を仕掛ける中国ロビイストに警戒するよう強調。この様子はワシントンのケーブルテレビで何度も取り上げられ、米政府への反響は大きかったという。
帰国後の21日には、自らが会長を務める保守系議連「創生日本」役員会で米要人との会談についてこう報告した。
≪対中関係にクギ≫
「『中国ともっとうまくやれ』と言う人もいたが、『そんなことではいけない』とクギを刺してきた」
故中川昭一元財務相の遺志を継いだ創生日本は若手・中堅を中心に70人以上が入会、自民党最大勢力になりつつある。活動も活発化しており、27日には都内で街頭演説を行い、中国漁船衝突事件をめぐる日中両政府の対応を糾弾する予定。年内を目標に教育や外交・安保などの基本政策を取りまとめる一方、地方組織の拡充も進める。
8月に行われた参院自民党議員会長選で、安倍氏は自らが所属する町村派から出馬した谷川秀善前参院幹事長を推さず、「世代交代」を掲げた伊吹派(当時)の中曽根弘文元外相を水面下で支援。森喜朗元首相との確執を生む結果となったが、存在感を示すことにもつながった。
先の衆院選で自民党保守系若手の多くが落選、ややリベラルの谷垣氏を中心とした執行部体制となったことは、自民党の支持が回復しない一因となっている。中川氏の急逝もあり、50歳代である安倍氏に保守派リーダーとして返り咲きを望む声は少なくない。
ただ、政界混迷の原因は、安倍氏が首相として臨んだ3年前の参院選惨敗にあることは間違いない。しかも安倍氏はその後体調を崩して退陣した。自民党には「安倍氏のせいで…」との恨み節はなお残り、安倍氏の言動に「あの人に言われても…」という拒絶反応はなお消えない。党内には安倍氏を含む首相経験者全員の政界引退を求める声さえもある。
≪ハードル高く…≫
それだけに安倍氏復権のハードルは高い。創生日本をいかに育て上げるかも大事だが、北朝鮮による拉致問題で見せたような政治手腕を振るうことができるか。そして政界再編を見据えながら明確な国家ビジョンを示すことができるか。首相経験者とはいえ、政治家としての正念場はこれからだといえる。
【関連記事】
中国、「ナチスと同列視は荒唐無稽」と安倍元首相を批判
中国空母「脅威の始まり」 米国防次官補
漁船衝突「中国の蛮行」 安倍元首相が批判
「竹島周辺で銃撃戦の可能性」 安倍氏が明かす韓国海洋調査事件
自民党、尖閣問題で政府批判続出 「谷垣発言」も波紋
最終更新:10月25日(月)8時20分
- 安倍晋三(あべしんぞう)
-
- 所属院 選挙区 政党:
- 衆議院 山口県第4区 自民党
- プロフィール:
- 1954年9月21日生 初当選/1993年 当選回数/6回
- (写真提供:時事通信社)
ソーシャルブックマークへ投稿 0件
関連トピックス
主なニュースサイトで 安倍晋三 の記事を読む
|