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インプラント、正しい理解を 手術ミスで訴訟…格安治療には要注意 (1/2ページ)
虫歯や歯周病などで歯が抜けた際の治療法の一つ、「インプラント」が近年、中高年を中心に広がっている。入れ歯やブリッジなどの治療法に比べて優れた点が数多くある一方、手術ミスなどで訴訟に発展したケースもある。日本のインプラント治療の第一人者で、全国に歯科医院を展開するスワン会の鈴木純二理事長(54)は「粗悪な手術が一部で行われているが、本来はすばらしい治療法だ」と、理解の普及に努めている。(小野田雄一)
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1本40万円が妥当
21年間で約1万4千件の手術実績を持つスワン会の統計でみると、患者の平均年齢は約57歳。医療系の統計調査会社「アールアンドディ」(名古屋市瑞穂区)によると、日本のインプラント市場は拡大している。不況の影響で平成21年度以降は横ばいの見込みだが、平成13〜20年度までは右肩上がりの推移だ。
しかし、トラブルも起きやすい。
国民生活センターによると、インプラントをめぐり、「治療途中で人工歯が折れた」「手術後に顎(がく)関節症になった」「痛みや出血が続き、調べたら斜めに埋め込まれていた」などの情報が寄せられている。今月13日には、愛知県豊橋市の歯科医院で手術を受けた60代男性が「不適切な治療で苦痛を受けた」として病院側に約550万円の損害賠償を求めた訴訟で、名古屋地裁は「術前検査が十分でなく、治療法に同意を得ていなかった」と病院側に約440万円の支払いを命じた。この医院は治療に失敗したインプラントを別の患者に使い回していたことも発覚している。
こうした現状について、鈴木理事長は「“安かろう悪かろう”という手術が一部にある。しっかりした手術をしようと思えば、CTスキャンや高品質のインプラントの使用などで1本当たり約40万円かかる」と指摘。そのうえで、「10万円以下をうたう医院は術後ケアやインプラントの品質に問題があることが多く要注意だ。安い手術で後に不具合が出て、後処理にさらに高額な医療費がかかるケースもある」と警鐘を鳴らす。