2010年10月21日5時31分
検察官の罷免を決める権限を持つ「検察官適格審査会」のメンバーが今月に入り一部交代し、政治とカネを巡る事件で検察と対立した民主党の小沢一郎元代表に近い国会議員が増えた。特捜検事の証拠改ざん事件で検察批判を強める小沢系議員に、法務省は早くも「無言の圧力」を感じ始めている。
同審査会は法務省の管轄で、衆参両院議員6人のほか、日本弁護士連合会長や最高裁判事、学識者ら計11人からなる。そのうちの9人が「検察官として職務を遂行するに適しない」と判断すれば罷免を求めることができる。理屈の上では検事総長を罷免することも可能だ。
国会議員は現在民主党4人、自民党2人となっており、各党内で人選をしている。今回は計4人が交代。これまで民主党議員で小沢氏に近いのは高山智司衆院議員だけだったが、辻恵、川内博史両衆院議員と森ゆうこ参院議員が加わった。欠員に備えた予備委員も、小沢氏に近い石関貴史、太田和美両衆院議員が名を連ねている。
辻氏は弁護士で、民主党法務部門会議座長。川内氏は取り調べを録音・録画する可視化導入を求める民主党議員連盟の会長だ。
自民党政権時代の審査会は法務省側が用意した資料を追認する、形だけの存在になっていた。過去62年間で罷免された検察官はわずか1人に過ぎない。だが、今回メンバー入りした民主党議員の1人は「『小沢系が多い。検察官の罷免もありうる』という話になるだけでも、政治的メッセージとしていい」と話す。