「全日本」(24日、横浜文化体育館)
スリムに変身した“天才”武藤敬司(47)も、世界ジュニアの“絶対王者”カズ・ハヤシ(33)のトリデは崩せなかった。
脂肪をそぎ落とした103キロの体はスピード、技の切れ味も増した。ドラゴンスクリューで動きを止め、月面水爆もさく裂させた。だが、勝負をかけたシャイニングウイザードを切り返されて暗転した。
酒も断って節制した1カ月間。勝利の美酒が頭に浮かんでスキが生まれ、米アラバマ地区USジュニア以来24年ぶりのジュニア戴冠の野望を砕かれた。「生ビールのジョッキのアワが見えて、そこから記憶が飛んだ」と、悔しがった。
4月に右ひざを手術して9月に再起。ジュニア逆挑戦は、両ひざの負担を軽減する延命策でもあった。ハヤシには昨年のC・カーニバルに続いて2連敗。戴冠こそ逃したが「体を研ぎすませばもっといい武藤を見せられる」と、収穫は得た。
(2010年10月24日)