菅改造内閣発足後初の国政選挙となった衆院北海道5区補選は24日投開票され、自民前職の町村信孝氏(66)が民主新人の中前茂之氏(38)=社民、国民新推薦=ら新人4氏を大差で破り、10回目の当選を果たした。民主党は7月の参院選に続く敗北で、小沢一郎元代表らの「政治とカネ」問題への批判が影響したとみられる。自民党は臨時国会で攻勢を強める構えで、菅政権は小沢氏の証人喚問問題などで一層難しい対応を迫られる。
北海道教職員組合(北教組)の違法献金事件に絡み民主党の小林千代美前衆院議員が辞職したことに伴う補選。投票率は53・48%で、09年衆院選(同区)の76・32%を大きく下回った。当日有権者数は45万4271人。
09年に小林氏に敗れ比例北海道ブロックで復活当選した町村氏は議員辞職して立候補した。検察審査会から起訴議決を受けた小沢氏も含め民主党の「政治とカネ」問題を攻撃するとともに、自民党政権時代に外相や官房長官など要職を歴任した実績も訴え、沖縄県・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件など菅政権の外交や経済政策を批判。高い知名度に加え、正式推薦しなかった公明党からも事実上の支援を受け、選挙戦を優位に進めた。
中前氏は世代交代を主張したが、政治とカネなどの問題が逆風となった。共産新人の宮内聡氏(47)は民主、自民両党との違いをアピールしたが、支持が広がらなかった。
菅直人首相は29日に国会に提出する10年度補正予算案の成立へ野党に協力を呼び掛けているが、大差で補選に勝利した自民党は攻勢を強める構えだ。町村氏は24日夜、選挙事務所で「1年前は政権交代への期待があったが、民主党の政治とカネ問題への鈍感さ、隠そうとする体質への反発が有権者にあった」と勝因を分析。谷垣禎一総裁は党本部で「選挙で表れた民意を我々が体現し、国会で堂々とやっていく」と小沢氏の国会招致実現を民主党に迫っていく考えを示した。
自民、公明など野党は補正予算案の与野党協議は否定していないが、小沢氏の問題を巡る民主党の対応次第では態度を硬化させる可能性もある。民主党の渡辺周選対委員長は24日夜、記者団に「直近の民意は厳粛に受け止めなければいけない。一番いいのはご本人自ら説明されること」と語り、小沢氏が衆院政治倫理審査会などの場で自発的に説明すべきだとの認識を示した。【堀井恵里子】
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●衆院北海道5区補選確定得票数●
当 125,636 町村信孝 <10>自前
94,135 中前茂之 民新=[社][国]
15,583 宮内聡 共新
2,697 河村美知子 無新
2,325 森山佳則 諸新
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町村信孝(まちむら・のぶたか) 66 自前<10>
[元]官房長官[歴]通産省企画官▽文相▽文科相▽党総務局長▽外相▽東大
毎日新聞 2010年10月25日 東京朝刊