知的障害者の安永健太さん(当時25歳)が警察官に取り押さえられた直後に急死した問題の審判。5日の第5回公判で、現場近くの歩道で目撃した女性に対し、検察役弁護士が証人尋問した。
検察役 (現場近くの飲食店駐車場に入るための)右折から駐車までの時間は。
証人 駐車するまで、1分もかからないと。
検察役 駐車してから現場へ行くまでは。
証人 30秒くらいと。
検察役 (安永さんの姿勢の)流れは、立っていた、中腰になった、左腕をとられた、でいいか。
証人 はい。
検察役 安永さんがつまずいたことは。
証人 ない。
検察役 見てる間で、うつぶせになったのは。
証人 完全なうつぶせはない。
検察役 ではどんな。
証人 ひざをついて、下を向いて、地面を向いている体勢。
検察役 左手に手錠がかかっているのを見たというが、両腕にかかっている記憶は。
証人 ない。
検察役 警察官が無線機を使って話す場面は記憶にあるか。
証人 ない。
検察役 事件から3年たっているが、当時の記憶はどのくらいあるか。
証人 ほとんどない。ところどころで。印象に残っているのが安永さんが動かなくなってしまってから。
検察役 いろんな動きがあって、説明できないか。
証人 はい。
検察役 当時は説明できたか。
証人 できなかった。
検察役 制服警察官が増えたのは記憶あるか。
証人 ない。
検察役 私服警察官が増えたのは記憶あるか。
証人 はい。
検察役 覆面パトカーの男女について、男性が安永さんの体に触ったのは見たか。
証人 いいえ。
検察役 3メートル近くにいたけど、記憶ないのか。いなかったのか。見てないのか。
証人 それは見てない。
検察役 その位置から、飲食店方向へ、(現場から)遠ざかったことはあるか。
証人 ある。
検察役 なぜ。
証人 安永さんが暴れ、こっちに来ると思ったので逃げた。
検察役 立ち上がった場面か。
証人 もめてる、取り押さえている。
検察役 そのときか、それとも、ひざをついている時か。
証人 重要なところが、こまごま分からない。
検察役 安永さんが向かってくるのは、歩いて逃げるようにか。
証人 はい。
検察役 両手錠で安永さんが動かなくなった状況は。
証人 両手錠は記憶ない。
検察役 動かなくなったのはどういう状況か。
証人 最後に亡くなった。
検察役 なぜ動かなくなったかは。
証人 分からない。
検察役 安永さんがおかしい人とか、そういう会話は。
証人 酔っぱらいか何かでは、と会話した。酔っぱらいか、シャブ中、薬物中毒かと。
検察役 覚せい剤、ということか。シャブ中という会話をしたか。
証人 はい。
(歩道から目撃した女性の証人尋問は終了)=つづく
毎日新聞 2010年10月23日 地方版