知的障害者の安永健太さん(当時25歳)が警察官に取り押さえられた直後に急死した問題の審判で、5日にあった第5回公判。現場の歩道で近くから目撃した女性に対し、被告側の弁護士による証人尋問が続いた。
【現場での目撃の続き】
弁護士 手錠がかかっている間、安永さんをずっと見ていたか。
証人 やじ馬としゃべったりした。
弁護士 目を離している時もあったか。
証人 少しは。
弁護士 安永さんが立っている状態から、急に両ひざをついたわけではないのか。
証人 動作が多すぎて、ここからこうなって、というのは全然分からない。
弁護士 しゃがみこんだり中腰になったりは。
証人 ちょこちょこあった。
弁護士 安永さんが地面に背中をつけて、あおむけになった姿勢の記憶は。
証人 ない。
弁護士 寝た姿勢から、上半身を起こしてた、ということは。
証人 その体勢から警察官を突き飛ばしたのかな。
弁護士 安永さんが尻ついて、上半身を起こした記憶は。
証人 (警察官が)突き飛ばされた時の記憶しかない。
弁護士 片手錠がかかる前か。
証人 たぶん。
弁護士 手錠の後は。
証人 覆面パトカー、それは後から分かったが、車が1台来て男女が降りてきた。
弁護士 何をした。
証人 女性がパトカーを動かした。男性は分からない。
弁護士 その時安永さんの状態は。
証人 男女の方を見ていたので(分からない)。
弁護士 警察の1人がグーで殴ったということが問題になっているが、そこまでのいきさつで目撃したか。
証人 いいえ、ありません。
弁護士 あおむけの取り押さえは。
証人 見ていない。
弁護士 警察官の1人が、上下に腕を上げ下ろし、安永さんを殴打したのを見たことは。
証人 いいえ。
弁護士 覆面パトカーが来る前、目を離したことはあるか。
証人 はい。
弁護士 どういうことがあって離したか。
証人 やじ馬の人と話す時、覆面パトカーが来た時くらい。何分も、ではない。
弁護士 同行男性と母親は(証人が今まで)話した様子(光景)を見ていたか。
証人 はい。
弁護士 その他に見ていた人は。
証人 歩道橋の上におじさんが1人。原付きバイクのおじさんを見たのは覚えている。
弁護士 覆面パトカーが来るまでの間、警察官は安永さんを殴ろうとか、攻撃姿勢をとる態度はないか。
証人 はい。
弁護士 警察官は、安永さんにどうしようとしていたか。
証人 行動を注意、というか。
弁護士 2人の警察官の行動は全体として安永さんを取り押さえようとしていたか。
証人 取り押さえです。=つづく
毎日新聞 2010年10月21日 地方版